高齢者でのうつ病に対する長期的治療

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うつ病は高齢者でよくみられる病気です。うつ病によって著しい苦痛と不便が生じ、治療が成功してもよく再発します。高齢者でのうつ病の原因は若年成人より多様なため、若い人で有効な治療が高齢者では効かないことがあります。そのため、高齢者に特定して治療の有効性を研究することが重要です。 このシステマティック・レビューでは、抗うつ薬を服用してうつ病から回復した60歳以上の人でのうつ病再発予防における、抗うつ薬、心理療法(会話療法)およびこれらの併用療法の容認性および許容性を評価しました。 1年間の抗うつ薬継続によりうつ病再発の危険性が61%から42%に低下しましたが、他の時点での利益は認められませんでした。抗うつ薬の忍容性はプラセボと同じくらい良好でした。研究数が少ないため、心理療法の利益は不明でした。 このレビューでは、選択した研究の数が少なく規模も小さかったため、高齢者うつ病に対する適切な長期治療を強く推奨することはできませんでした。あらゆる利益を明らかにするため、さらなる研究試験が必要です。

著者の結論: 

高齢者でのうつ病再発予防における継続的抗うつ薬の長期的利益は明らかではなく、本レビューに基づいて投与を強く推奨することはできない。12ヵ月間の抗うつ薬継続は有用であると考えられるが、これは臨床的に異質な集団を対象にして、異なるクラスの抗うつ薬を用いた比較的少数の参加者の小規模な3件の研究のみに基づいている。他の時点での比較では、統計学的有意差に届かなかった。心理療法および併用療法のデータは非常に限定的であり結論を出せない。

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背景: 

高齢者のうつ病は、著しい苦痛が、保健医療サービスの利用の原因となっている。再燃・再発率も高い。

目的: 

高齢者でのうつ病再燃・再発予防における抗うつ薬および心理療法の有効性を検討すること。

検索戦略: 

2012年6月22日までのCochrane Depression, Anxiety and Neurosis Review Group's specialized register(CCDANCTR)を検索した。以下の文献データベース:コクラン・ライブラリ(全年度)、EMBASE(1974年~)、MEDLINE(1950年~)、PsycINFO(1967年~)からの関連性のあるランダム化比較試験(RCT)がCCDANCTRに含まれている。関連性のある雑誌をハンドサーチし、本分野の専門家に連絡を取り、参考文献リスト、学会抄録、および文献目録を調べた。

選択基準: 

2名のレビューアが別々に研究を選択した。うつ病エピソードの治療が成功した60歳以上の人を抗うつ薬、心理療法またはその併用による継続治療および維持治療にランダム割付したランダム化比較試験(RCT)を組み入れた。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々にデータを抽出した。主要アウトカムは6ヵ月間隔でのうつ病再燃・再発率(あらゆるうつ病評価スケールでのカットオフ到達)であった。副次アウトカムは、変化の総合的印象、社会機能、および死亡であった。二値アウトカムにはリスク比、連続的アウトカムには平均差(MD)を用いてメタアナリシスを実施し、その95%信頼区間を報告した。

主な結果: 

7件の研究が選択基準を満たした(参加者803名)。6件は抗うつ薬をプラセボと比較し、2件は心理療法を含んでいた。研究間には著しい異質性が認められた。 抗うつ薬とプラセボの比較では、追跡6ヵ月時点で、有意差は認められなかった。追跡12ヵ月時点で、再発減少についてプラセボより抗うつ薬を支持する統計学的有意差がみられた(RCT3件、247名、RR = 0.67、95%CI 0.55~0.82、NNTB = 5)。24ヵ月時点で、抗うつ薬全体について有意差は認められなかったが、三環系抗うつ薬のサブグループでは有意な利益が認められた(RCT3件、169名、RR = 0.70、95%CI 0.50~0.99、NNTB = 5)。 36ヵ月時点で、抗うつ薬全体について有意差はなかった。抗うつ薬とプラセボに、治療の容認姓および死亡について差は認められなかった。 12、24、36ヵ月時点の再発率について精神療法と抗うつ薬に有意差はなく(RCT1件、53名)、併用と抗うつ薬単独とにも有意差はなかった。 全体として、選択した研究のバイアスのリスクは低かった。

訳注: 

監  訳: 三浦 智史,2014.1.28

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

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