クローン病の寛解誘導のためのプロバイオティクス

クローン病は腸の慢性炎症性疾患で、非活動期と再燃期を繰り返す疾患である。クローン病は口腔から肛門まで消化管のあらゆる部位で発症する。クローン病でもっとも多い症状は腹痛および下痢である。プロバイオティクスは生きた微生物で、腸内の細菌の発育を変化させて炎症を抑え、健康に役立つと考えられている。1件の研究のみが同定され、この研究では活動性クローン病治療に対するプロバイオティクスの有効性は示されなかった。しかし、この研究はきわめて小規模である(患者11名)ため、プロバイオティクスの有効性について明確な結論を導くことはできない。プロバイオティクスは概ね忍容性が高く、副作用は報告されなかった。活動性クローン病の治療に対するプロバイオティクスの有効性に関する結論を導くには、エビデンスが不十分である。

著者の結論: 

クローン病の寛解導入に対するプロバイオティクスの有効性について結論を導くにはエビデンスが不十分である。この分野では適切にデザインされたRCTが不足しており、さらに研究が必要である。

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背景: 

クローン病は重度の疾患で、根治方法はまだ知られていない。現行の治療法は複数の副作用が認められるため、副作用がきわめて少ない有効な治療法が望まれる。このような治療法としてプロバイオティクスが挙げられるが、有効性は不明である。プロバイオティクスは他の消化器病に有効とするいくつかのエビデンスが認められ、患者にも人気があるというエビデンスが得られている。共生細菌叢や病原細菌叢との競合作用を介して免疫応答に影響を与えると考えられている。

目的: 

クローン病の寛解誘導に対するプロバイオティクスの有効性に関するエビデンスの有無を検証すること。

検索方法: 

Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL) (2007年1号)、MEDLINE (1966〜2007年)、Excerpta Medica/EMBASE (1974〜2007年)、CINAHL (1982〜2007年)およびCochrane Inflammatory Bowel Disease and Functional Bowel Disorders Group Specialised Trial Registerを検索した。プロバイオティクスの製造者に問合せを行い、未発表の試験を同定した。その他の試験を同定するため、試験の参考文献も検索した。

選択基準: 

クローン病の寛解導入に対しプロバイオティクスとプラセボまたは他の介入を比較したランダム化比較試験(RCT)を適格とした。

データ収集と分析: 

データ抽出および対象試験の方法の質の評価は、2名のレビュー著者がそれぞれ実施した。主要アウトカムは臨床的寛解であった。二値アウトカムについては、オッズ比および95%信頼区間を算出した。

主な結果: 

1件の小規模研究(n = 11)が選択基準を満たしており、本レビューに組み入れた。この研究の方法には問題が認められた。プロバイオティクス群の患者は5名中4名で寛解が認められたのに対し、プラセボ群では6名中5名で寛解が認められた(OR 0.80; 95% CI 0.04〜17.20)。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.2.27]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
 CD006634 Pub2

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