上部消化管出血管理のための赤血球輸血

著者の結論: 

統合した研究の輸血群において死亡や再出血がより多かったが、症例の数が少なく、欠失データが大量にあったことがこれら知見の重要性を限られたものにしている。本レビューに選択された研究は、急性上部消化管出血に対する赤血球輸血後のアウトカムに関して有用なデータを提供していない。これらの研究は生存に対して非常に有効であることを否定しているようである。十分な統計学的検出力を有する大規模で適切に隠蔽化したRCTが緊急に求められる。

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背景: 

上部消化管出血は毎年成人10万人あたり50~150人に生じ、高い死亡率を伴う。赤血球輸血がしばしば行われるが、輸血が再出血率や死亡率に与える影響は不明である。

目的: 

上部消化管出血のある成人における赤血球(RBC)輸血の効果を評価する。

検索方法: 

この更新のため、初期の検索戦略を検索最終号/月から2010年3月まで実行し直した。以前、Cochrane Upper Gastrointestinal and Pancreatic Disease Group Trials Register(2008年2月まで)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(コクラン・ライブラリ2008年第1号)、MEDLINE(1950年から2008年2月まで)、EMBASE(1974年から2008年2月まで)、Systematic Review Initiative database of randomised controlled trials(RCT)、血液学および胃腸病学の会議議事録、論文の参考文献リストを検索した。

選択基準: 

上部消化管出血があり、血行動態的に安定している成人と血行動態的に不安定な成人を対象として、RBC輸血を用いた標準的ケアと輸液を用いた標準的ケアを比較しているランダム化研究と準ランダム化研究。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独自に試験の質を評価し、データを抽出した。更なる情報を求めて研究著者に連絡を取った。

主な結果: 

126例の患者を対象に含む3件の試験を選択し、完全データは93例の患者で入手可能であった。症例は不均質であり、3件の研究のうち、全く同じ介入を検討したものはなく、同じアウトカムを評価したものはなかった。2件の試験のみが死亡データを報告し、介入の死亡に対する要約相対リスクは5.4(95%CI 0.27~107.09)であった。1件の試験は輸血群で凝固時間が延長したこと、および、これらの患者で再出血率が高いことを報告した。これらの研究のうち、RBC輸血に直接関係する有害事象を報告したものはなかった。割りつけの隠蔽化、ランダム化、盲検化などの単なる方法論的な欠陥があり、解析結果を不確実にしている。これらの研究のいずれも、十分な統計学的検出力を有さず、最も規模が大きい研究において、最終解析の対象となったのは症例の半数未満であった。制限的RBC輸血と自由RBC輸血を比較・検討した1件のRCTは860例の参加者を集積することを目指しているが、まだ完了していない。

訳注: 

監  訳: 柴田 実,2011.3.25

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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