乳児のアレルギー疾患および食物過敏症の予防のためのプロバイオティク

著者の結論: 

アレルギー疾患および食物過敏症の予防のための調整粉乳へのプロバイオティクスの添加を推奨するには、エビデンスが不十分である。乳児に対して臨床的に湿疹は減少したが、その効果は研究の間で一致せず、選択した研究の方法論に関する問題から慎重に解釈することが提唱される。これらの所見が再現可能か否かについての判定には、さらなる研究が必要である。

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背景: 

腸内ミクロフローラの構成はアトピー性湿疹のある人とない人では異なるようであり、このような差は湿疹の発現に先行していると思われる。プロバイオティクは、消化管でコロニーを形成し、宿主の健康に利益をもたらす生きた細菌である。プロバイオティクを調整粉乳に添加することによって乳児の食物アレルゲンへの感作を予防できる可能性がある。

目的: 

アレルギー疾患または食物過敏症の予防のために乳児に与えたプロバイオティクの効果を判定する。

検索方法: 

Cochrane Central Register of Controlled Trials(2007年第1号)、MEDLINE(1966年~2007年2月)、EMBASE、PREMEDLINE、学会予稿集の抄録および発表済み論文の引用を検索し、専門家の情報提供者を探した。

選択基準: 

プロバイオティクの使用と非使用を比較、または特定のプロバイオティク使用と別のプロバイオティクを比較、またはプレバイオティック含有プロバイオティックとコントロールを比較しているランダム化および準ランダム化比較試験。

データ収集と分析: 

Cochrane Neonatal Review Groupの標準法を用いて、試験の質を評価し、データを抽出し、データを合成した。

主な結果: 

12件の研究が選択に適格であった。乳児2080例を登録した6件の研究によりアレルギー疾患および/または食物過敏症のアウトカムの評価が行われていたが、乳児1549例のみについてアウトカムが報告されていた。研究は、ランダム化、割り付けの隠蔽化および治療の盲検化が全般的に適切であった。しかし、追跡不能患者が多すぎるため(17%~61%)、本レビューの知見は慎重に取り扱うべきである。乳児1477例のアウトカムを報告した5件の研究のメタアナリシスから、乳児湿疹の有意な減少が認められた(典型的なRR0.82、95%CI0.70、0.95)。しかし、研究との間に顕著な、また実質的な異質性がみられた。1件の研究のみで、湿疹に群間での差が4歳まで続いていたことが報告されていた。アトピー性湿疹(皮膚プリックテストまたは特異的IgEで確認)を報告した研究に限定して解析したところ、所見はもはや有意ではなかった(典型的なRR0.80、95%CI0.62、1.02)。有意な利益を報告した研究はすべて、ラクトバシラス・ラムノサスを含有するプロバイオティク補給剤を使用しており、アレルギー・リスクの高い乳児を登録していた。アレルギー疾患または食物過敏症のその他のアウトカムについて、その他の利益は報告されていない。

訳注: 

監  訳: 曽根 正好,2008.1.11

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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