むずむず脚症候群の症状を治療するのに鍼治療を用いることを支持するエビデンスは十分ではない

むずむず脚症候群(RLS)は、脚に不快感が起こり衝動的に脚を動かそうとするという特徴がある感覚運動障害である。この症候群はとても一般的であり、ライフスタイルに影響を及ぼすので、有効で満足できる介入が調査されている。

鍼治療は中国古来の治療法である。ツボを刺激することにより内臓の機能をととのえ、身体のエネルギーのバランスをとる。非薬理学的治療としてRLSの治療に有効である可能性があるかもしれない。

このレビューではRLS治療における鍼治療の有効性と有害作用を調査した。鍼治療はRLSの治療に有効であり安全であるかどうかを決定づける一貫性のあるエビデンスは、同定した2件の試験に基づいたこのレビューでは認められなかった。RLSで苦しむ患者に鍼治療を繰り返し行うことを勧められるようになるまでには、さらなる質の高い試験が必要である。 鍼治療はRLSの治療に有効であり安全であるかどうかを決定づける一貫性のあるエビデンスは、同定した2件の試験に基づいたこのレビューでは認められなかった。RLSで苦しむ患者に鍼治療を繰り返し行うことを勧められるようになるまでには、さらなる質の高い試験が必要である。

著者の結論: 

鍼治療がRLSの有効かつ安全な治療であるかどうかを決定するエビデンスは十分でない。さらなる良くデザインされた大規模な臨床試験が必要である。

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背景: 

むずむず脚症候群(RLS)は一般的な運動障害で、患者は鍼治療にかかる場合がある。しかしRLS治療における鍼治療の有益性は明らかではなく、今までシステマティック・レビューでは評価してこなかった。

目的: 

RLS患者における鍼治療の有効性と安全性を評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL、コクラン・ライブラリー、2007年第1号)、 MEDLINE (1950年1月~ 2007年2月)、 EMBASE (1980年1月 ~ 2007年第8週)、 Chinese Biomedical Database (CBM) (1978年 ~ 2007年2月)、 China National Knowledge Infrastructure (CNKI) (1979年~ 2007年2月)、 VIP Database (1989年 ~ 2007年2月)、 Japana Centra Revuo Medicina (1983年 ~ 2007年)、Korean Medical Database (1986年 ~ 2007年)を検索した。中国のジャーナル4誌、関連する学会記録および論文の参考文献をハンドサーチした。

選択基準: 

初期RLSに対する鍼治療と無介入、プラセボ鍼治療、偽鍼治療、薬理学的治療およびその他の無鍼治療介入とを比較したランダム化比較試験および準ランダム化試験を選択した。鍼治療と鍼を用いない治療との併用と同一の鍼を用いない治療との比較試験も選択した。異なる形状の鍼治療や異なる経路を比較しているだけの試験は除外した。

データ収集と分析: 

2名の著者が独立して該当すると考えられる論文を同定し、方法論的質を評価しデータを抽出した。相対リスク(RR)をバイナリーアウトカムに用い、連続型変数に対しては平均差を重視した。臨床的異質性のない場合に限り結果を統合した。

主な結果: 

当初は該当する可能性のある関連試験14件を同定したが、内12件は選択基準に適合せず、除外した。患者170例の2件の試験だけが選択基準に適合した。試験間の臨床的異質性のため、データの統合は不可能であった。2試験共に方法論的および/または報告上の欠陥があった。1件の試験では、全般的症状の寛解において鍼治療と薬物で有意差がみられなかった(RR 0.97、 95% CI 0.76 ~ 1.24)。 もう1件の試験では、薬物およびマッサージと併用した皮膚鍼治療が、脚の不快感の緩和(RR 1.36、 95% CI 1.06 ~ 1.75; WMD -0.61、 95% CI -0.96 ~ -0.26)およびRLS頻度の減少(WMD -3.44、 95% CI -5.15 ~ -1.73)に関して薬物およびマッサージ単独より有効であることがわかった。しかしRLS発症期間の最長または最短期の両方において、減少させることに対する有意差はなかった(WMD -2.58、 95% CI -5.92 ~ 0.76; WMD -0.38, 95% CI -1.08 ~ 0.32)。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2016.1.1]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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