分娩時の会陰外傷による疼痛の緩和に対する局所冷却

会陰裂傷は分娩時に起こることが多い。さらに、医療者は出生のために、会陰を切開してスペースを広げることがある(会陰切開術)。このような裂傷と切開により、出産後数時間から数日、時には数ヵ月間女性に疼痛が生じることが多い。このため、歩行や座位に支障を生じ、母乳哺育などの新生児に対するケアにまで影響することがある。その部位には、冷浴、氷パック、冷却パックなどの多数の疼痛緩和法がしばしば用いられる。冷却が有効かどうか、また体のその部位に起こる可能性は低いものの過剰に冷却すると治癒が遅延し凍傷の可能性があると知っておくことは重要である。 本レビューでは、短期間の局所冷却が女性の疼痛緩和に役立ち、治癒に有用かどうか検討した。氷、冷却ゲルパッド、冷浴などの冷却療法を無治療または他の治療と比較している、1,825名の女性を組み入れた10件の研究を認めた。1件の研究では、無治療に比べて、出産後24~72時間に10~20分間氷パックを用いた場合の方が疼痛の報告が少なかったという所見を得た。治癒に対する効果は同定されなかった。 会陰痛の緩和に対し、冷却療法がどれほど安全で有効かというエビデンスは少ししか認められなかった。

著者の結論: 

出産後疼痛緩和のため会陰への局所冷却療法(氷パック、冷却ゲルパッド、冷水/氷冷浴)の有効性を支持する限定的なエビデンスしかなかった。

アブストラクト全文を閲覧
背景: 

会陰外傷は分娩時によく発生し、痛みを伴う。現代の産科診療では、冷却療法の局所適用などの多くの疼痛緩和法が女性に提供されている。

目的: 

局所冷却療法の有効性と副作用を無治療、他の冷却法、無冷却療法を比較して評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2012年1月10日)、CINAHL(1982~2012年1月10日)、Australian New Zealand Clinical Trials Register(2012年1月10日)を検索し、本分野の専門家に連絡を取った。

選択基準: 

分娩時の会陰外傷に関連した疼痛の緩和に対し適用された、会陰への局所冷却療法を無治療または他の治療と比較している、発表・未発表のランダム化比較試験(RCT)と準RCT

データ収集と分析: 

2名以上のレビューアが別々に組み入れについて試験を評価し、試験の質を評価しデータを抽出した。データのサブセットについては正確性を確保するためダブルチェックした。可能な場合はITTベースで解析を実施した。これらの試験の著者から、その後追加された情報を求めた。

主な結果: 

10件の発表RCTを選択した(女性1,825名)。局所冷却療法[氷パック、冷却ゲルパッド(圧迫の有無を問わない)、または冷水/氷冷浴]と、無治療、圧迫ゲルパッド、ハマメリス水(アメリカマンサク)、パルス電磁エネルギー(PET)、ヒドロコルチゾン/プラモキシン・フォーム(Epifoam)、経口投与のパラセタモールまたは温浴との比較を対象とした。氷パックにより無治療に比べて出生後24~72時間の疼痛緩和が示された[リスク比(RR)0.61、95%信頼区間(CI)0.41~0.91、1件の研究、208名]。女性は、氷パックや無治療よりゲルパッドの利用を好んだ(RR0.82、95%CI0.73~0.92)。会陰浮腫と紫斑の複合と全体的創傷治癒で検出された差は、1件の小規模試験で認められ、出産後3~14日において、氷[35名、平均差(MD)0.63(0~15の尺度)、95%CI0.20~1.06]、無治療(39名、MD-2.10、95%CI-3.80~-0.40)に比べて冷却ゲルパッド(37名)を支持していた。PETに比べて氷パック利用女性において、疼痛(RR5.60、95%CI2.35~13.33、1件の研究、100名)の報告が多く、鎮痛剤の追加使用が多かった(RR4.00、95%CI1.44~11.13、1件の研究、100名)。

訳注: 

監  訳: 江藤 宏美,2012.9.27

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

Tools
Information
シェア/保存する