てんかんに合併する精神病症状に対する介入

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てんかんの人での精神病の治療について、エビデンスによる情報はほとんどありません。 てんかんの人は精神病症状をきたす危険性が高いという、実質的なエビデンスが認められています。これらの症状は、てんかん発作の直後や直前に時々起こりますが、症例によっては発作がなくても長期間持続することがあります。精神病障害の症状をコントロールするのに用いる薬の大半がてんかんの有効なコントロールを妨げその逆も起こりうるという事実から、てんかんに関連した精神病を示す人の管理は複雑なものとなっています。このレビューの選択基準を満たしたのは1件の小規模な試験だけでした。現在、てんかんの人での精神病症状の治療に情報となるエビデンスは不十分で、さらなるRCTが必要です。

著者の結論: 

RCTを1件のみ認めたが、てんかんに合併した精神病罹患患者での抗精神病薬の有効性を検証するには検出力が足りなかった。 この小規模RCTによる限定的なエビデンスから、抗精神病薬の使用により精神病症状の改善が示唆されたが、他のアウトカム指標の改善は示唆されなかった。痙攣コントロールへの効果は十分な研究がなかった。診療に対し情報提供を行うため、さらなる試験が必要である。

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背景: 

2008年第4号発表のコクラン・レビュー原著の更新版である。 てんかんの罹患者では、精神病症状が発現するリスクが高くなっている。てんかん関連の精神病症候群は、一般に発作時、発作後、および発作間欠期精神病に分類される。抗痙攣薬は精神病を誘発すると報告されている。また、すべての抗精神病薬には発作性EEG異常を引き起こし痙攣を誘発する傾向がある。

目的: 

てんかんの人に発症した臨床的に意味のある精神病症状の治療に使用される介入が、全般的改善、精神状態の変化、入院、行動、生活の質に関して及ぼす利益、痙攣頻度への効果、および抗てんかん薬との相互作用を評価すること。

検索戦略: 

Trials Registers of the Cochrane Schizophrenia Group and the Cochrane Epilepsy Group(2012年8月)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL、コクラン・ライブラリ2012年第8号)、MEDLINE(Ovid、1946~2012年8月第2週)、PsycINFO(1872~2012年8月)、CINAHL(1981~2012年8月)およびBIOSIS Previews(2012年8月)を検索した。 2名のレビューア(SFおよびAS)が別々に検索して同定した引用文献を調べた。関連する可能性のある抄録を同定し、組み入れおよび方法論的質について全ての論文を評価した。

選択基準: 

てんかんの人における精神病症状の緩和に使用した薬剤、行動療法、認知行動療法、あるいは他の非薬物介入を比較しているすべてのランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析: 

標準化した方法を用いて、すべての関連性のある研究のデータを抽出し解析する計画であった。1件の研究のみが選択基準を満たしたため、メタアナリシスはしなかった。

主な結果: 

492件の論文の抄録および表題を別々に評価した結果、関連性のある抄録を5件選択した。最終的に、選択基準を満たす研究は1件のみ認めたが抄録としてしか入手できなかった。この研究は、てんかん性統合失調症様精神病(SLPE)に罹患している患者16人を対象にオランザピン(10 mg/日)の使用をハロペリドール(12 mg/日)と比較していた。13人の患者が研究を完了した。オランザピンの使用に関連して有意な改善がみられた。てんかんおよび精神病罹患者における心理社会的介入に関する研究は同定されなかった。

訳注: 

監  訳: 江川 賢一,2014.1.28

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

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