尿管結石の治療に尿管鏡検査を受けた人の方が無結石率が高かったが、合併症が多く入院期間が長期であった

多くの場合、尿管結石(腎結石が尿管に移動したもの)により腎仙痛が起こり、治療されない場合は尿路を閉塞する(閉塞性尿路疾患)。尿管鏡検査(医師が尿路の内側を診察する検査)と体外衝撃波砕石術(ESWL、高エネルギーの衝撃波を用いて結石を小さい粒に粉砕し体内から尿に排泄させる処置)のどちらについても、尿管結石の管理において高い成功率が得られている。1,205名の患者の7件のRCTからの報告を解析し、尿管鏡検査の方が治療後の無結石率が良好だが入院期間が長くなり合併症リスクが高いという所見を得た。7件の研究にはデザイン、期間および収集したデータに多くの相違があるため比較と評価が困難であることが示された。新規の改善された治療と研究が、確実に臨床行為に情報を与えるものであると判断されるように今後の評価と研究を実施することが必要である。

著者の結論: 

ESWLに比べて、尿管鏡による尿管結石回収術の方が無結石状態を多く認めたが、合併症率が高く入院期間が長期であった。

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背景: 

多くの場合、尿管結石は腎仙痛を起こし、治療されない場合は閉塞性尿路疾患が生じる。体外衝撃波砕石術(ESWL)と、尿管鏡検査または体内砕石術併用尿管鏡検査は、尿管結石の治療に使用される最も高頻度の介入である。ESWLの方が尿管鏡検査に比べて侵襲性が低いが、再治療率が高いなどの限界があり、どの施設でも実施できるとは限らない。尿管鏡検査での最近の進歩により、成功率が上昇し合併症率が低下している。

目的: 

尿管結石の治療を対象にしたESWLまたは尿管鏡検査のアウトカムに関するランダム化比較試験(RCT)によるエビデンスを検討すること。

検索戦略: 

Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL、コクラン・ライブラリ2011年第2号)、MEDLINE(1966~2011年3月)、EMBASE(1980~2011年3月)、CINAHL、Clinicaltrials.gov、Google Scholar、論文の参考文献リスト、学会抄録を検索した。言語による制約を設けなかった。

選択基準: 

ESWLを尿管鏡による尿管結石回収と比較しているRCTを本レビューに選択した。研究参加者は、介入を要する尿管結石の成人であった。発表および未発表の情報源とも選択対象とした。

データ収集と分析: 

3名のレビューアが研究の質、バイアスリスク、抽出したデータを評価した。ランダム効果モデルを用いて統計解析を実施した。結果について、二値アウトカムにはリスク比(RR)を、連続データには平均差(MD)をその95%信頼区間(CI)とともに示した。

主な結果: 

7件のRCT(患者1,205名)を本レビューに選択した。無結石率はESWL施行患者の方が低かった(7件の研究、参加者1,205名、RR0.84、95%CI0.73~0.96)が、再治療率は尿管鏡検査施行患者の方が低かった(6件の研究、参加者1,049名、RR6.18、95%CI3.68~10.38)。ESWL施行患者の方が、補助治療の必要性が低く(5件の研究、参加者751名、RR0.43、95%CI0.25~0.74)、合併症が少なく(7件の研究、参加者1,205名、RR0.54、95%CI0.33~0.88)、入院期間が短期であった(2件の研究、参加者198名、MD-2.55日、95%CI-3.24~-1.86)。 3件の研究にはランダム化配列の十分な記述があり、3件の研究はランダム化法が不明で、1件の研究の選択バイアスは高リスクであった。すべての研究の実施バイアスと検出バイアスのリスクは不明であったが、消耗バイアス、報告バイアス、同定した他のバイアス源のリスクはすべての研究で低かった。

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