限局性および局所性進行前立腺癌に対する術前補助ホルモン療法と補助ホルモン療法

著者の結論: 

前立腺切除術または放射線療法のいずれかと併用したホルモン療法は、限局性前立腺癌または局所性進行前立腺癌の患者において有意な臨床的利益がある。前立腺切除術または放射線療法の前に行うと、有意な局所制御を達成するかもしれず、患者の生活の質を改善するかもしれない。これらの一次療法の補助として投与するホルモン療法は局所制御の方法を提供するばかりでなく、有意な生存率への利益に対するエビデンスも存在する。しかしながら、ホルモン療法にはほてりや女性化乳房のような副作用ならびにコストの問題がある。従ってホルモン療法を使用するかどうかは、臨床的利益、毒性およびコストを考慮に入れて患者と医師と政策立案者との間において地域レベルで決定すべきである。ホルモン抑制療法の選択、期間、スケジュール、ならびに毒性および患者の生活の質に関する長期的ホルモン療法の影響を明らかにするような指針を与えるためにさらに多くの研究が必要である。

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背景: 

初期前立腺癌に対するホルモン療法は臨床的指標と病理学的指標において改善を示してきたが、全生存率は常に改善するわけではなかった。限局性前立腺癌または局所性進行前立腺癌において手術または放射線療法を併用した補助ホルモン療法と術前補助ホルモン療法をシステマティックにレビューした。

目的: 

本レビューは、限局性前立腺癌または局所性進行前立腺癌における術前補助ホルモン療法と補助ホルモン療法をシステマティックにレビューし、可能であればメタアナリシスを行うことを目的とした。

検索戦略: 

MEDL1NE(1966年~2006年)、EMBASE、コクラン・ライブラリ、Science Citation Index、LILACSおよびSIGLEから関連したランダム化試験を検索した。適切な出版物のハンドサーチも行った。

選択基準: 

本レビューに含めたのは、限局性前立腺癌または局所性進行前立腺癌、すなわちステージT1~T4、N(あらゆる分類)、M0の患者において、一次療法(根治的放射線療法または根治的前立腺切除術)と併用した術前補助ホルモン除去療法または補助ホルモン除去療法を一次療法のみと比較するランダム化または準ランダム化比較試験であった。

データ収集と分析: 

適格である研究からデータを抽出し、質に対する評価を行った。データには研究デザイン、参加者、介入、アウトカムに関する情報を含んだ。比較できるデータを併せてITTの原則でメタアナリシスを行うためにプールした。

主な結果: 

前立腺癌男性は、そのリスク(T1~T2、T3~T4、PSAレベルおよびGleasonスコア)に基づいて臨床アウトカムが異なる。しかしながら、本レビューに含めた研究のほとんどはリスクグループ別の結果を報告していないので、サブグループ解析を行うことはできなかった。前立腺切除術前の術前補助ホルモン療法は、全生存率を改善しなかった(OR 1.11、95%CI 0.67~1.85、P=0.69)。しかしながら、手術切除断端の陽性率に有意な低下がみられ(OR 0.34、95%CI 0.27~0.42、P<0.00001)、リンパ節転移、病理学的ステージ分類、臓器限局性の割合などのその他の病理学的変数に有意な改善があった。疾患再発率に、治療を支持するボーダーラインの有意な低下があった(OR 0.74、95%CI 0.55~1.0、P=0.05)。術前補助ホルモンの使用が長いと、すなわち前立腺切除術前に6ヶ月または8ヶ月使用すると、手術切除断端の陽性率が有意に減少した(OR 0.56、95%CI 0.39~0.80、P=0.002)。1件の研究で、放射線療法前の術前補助ホルモン療法はGleasonスコア2~6の患者の全生存率を有意に改善したが、2件の研究では疾患特異的生存率に改善はみられなかった(OR 0.99、95%CI 0.75~1.32、P=0.97)。しかしながら、臨床的無病生存率に有意な改善があり(OR 1.86、95%CI 1.93~2.40、P<0.00001)、生化学的無病生存率にも有意な改善があった(OR 1.93、95%CI 1.45~2.56、P<0.00001)。前立腺切除術後の補助アンドロゲン除去療法は5年目の全生存率を有意に改善しなかったが(OR1.50、95%CI0.79~2.85、P=0.2)、1件の研究は補助療法による疾患特異的生存率の有意な利益を報告していた(P=0.001)。さらに、5年目の無病生存率に有意な改善がみられ(OR 3.73、95%CI 2.30~6.03、P<0.00001)、また10年目の無病生存率にも有意な改善があった(OR 2.06、95%CI 1.34~3.15、P=0.0009)。放射線療法後の補助療法の結果、有意な全生存率の利益が5年目に明らかで(OR 1.46、95%CI 1.17~1.83、P=0.0009)、10年目にも明らかであったが(OR 1.44、95%CI 1.13~1.84、P=0.003)、有意な異質性があった(それぞれP=0.09とP=0.07)。5年目の疾患特異的生存率にも有意な改善があり(OR 2.10、95%CI 1.53~2.88、P=0.00001)、無病生存率にも有意な改善があった(OR 2.53、95%CI 2.05~3.12、P<0.00001)。

訳注: 

監  訳: 2006.12.27

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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