小児と成人の喘息における喀痰好酸球に基づいて個別化した介入と臨床症状に基づいて個別化した介入との比較

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著者の結論: 

喀痰好酸球に基づいて個別化した喘息介入は、喘息の成人における喘息増悪頻度の減少に有益である。本レビューは、頻回な増悪および重症の喘息のある成人に対して喘息治療を個別化するための喀痰好酸球の使用を支持している。これらの結果を強化するためにさらなる研究の実施が必要である。喘息のある小児については結論を出せない。

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背景: 

喘息の重症度とコントロールは自覚的および他覚的に測定できる。喀痰好酸球比率%を評価するための喀痰分析は気道の炎症を直接測定し、喘息の他覚的モニタリングのひとつの方法である。喘息治療に対する介入は伝統的に、症状とスパイロメトリーに基づいている。

目的: 

小児と成人の喘息に関連したアウトカムについて、喀痰分析に基づいて個別化した喘息介入の効果を臨床症状(スパイロメトリー/最大呼気流量を用いる、または用いない)に基づいて個別化した介入と比較評価する。

検索戦略: 

Cochrane Airways Group Specialised Register of trials、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE、EMBASEおよび論文の参考文献リストを検索した。最新検索は2008年11月に行った。

選択基準: 

喀痰好酸球に基づく喘息治療の調整を伝統的な方法(主として臨床症状およびスパイロメトリー/最大呼気流量)と比較しているすべてのランダム化比較。

データ収集と分析: 

事前に定めた選択基準に照らして検索結果をレビューした。3組のレビューアが関連性のある研究を選択した。2名のレビューアが独自に試験の質を評価し、データを抽出した。さらなる情報については著者に問い合わせたが、いずれからも返答はなかった。「施行された治療」としてデータを解析し、感度分析を行った。

主な結果: 

成人を対象とした3件の研究を含めた。これらの研究は臨床的および方法論に異質性があった(薬剤の使用、喀痰好酸球比率%のカットオフ値、喘息増悪の定義)。小児を対象とした適格な研究はなかった。ランダム化された参加者246例のうち221例が試験を完了した。メタアナリシスにおいて、喀痰好酸球に基づく治療は臨床症状に基づく治療と比較して、1回以上の喘息増悪を経験した参加者数が有意に減少した。統合オッズ比(OR)は0.49(95%CI 0.28~0.87)、利益を得るための治療必要数(NNTB)は6例(95%CI 4~32)であった。経口副腎皮質ステロイド薬の使用が必要として定義された増悪率(1年あたりの増悪)および増悪の重症度も群間で差を認めたが、入院の減少は統計学的に有意ではなかった。臨床症状、生活の質、スパイロメトリーのデータに関しては群間で有意差はなかった。吸入ステロイド薬の1日あたりの平均用量は両群で同等であり、有害事象の報告例はなかった。しかし、喀痰誘発は常に可能であるとは限らなかった。