超早産児や極低出生体重児の壊死性腸炎を防ぐためのプロバイオティクス

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レビューの論点
プロバイオティクスを超早産児や極低出生体重児に与えることで、壊死性腸炎を防ぐことができるか?

背景
超早産児(8週以上早く生まれた児)や極低出生体重児(1500g未満)は、腸の一部が炎症を起こして感染し、死に至る重度の腸疾患(壊死性腸炎:NECと呼ばれる)を発症するリスクがある。壊死性腸炎には、死亡、重篤な感染症、長期的な障害や発達障害を伴う。壊死性腸炎やそれに伴う症状を予防するための一つの方法として、プロバイオティクス(潜在的に有益なバクテリアや酵母を含む栄養補助食品)をミルクに添加することが考えられる。

研究の特徴
この検索結果は2020年2月18日現在の最新情報である。我々は56件の試験を特定し、合計で10,000人以上の乳児が参加していた。試験はほとんどが小規模で、いくつかの試験には設計上の欠陥があり、結果に偏りが生じる可能性があった。

主な結果
複合解析の結果、超早産児や極低出生体重児にプロバイオティクスを投与することで、壊死性腸炎のリスクが減少し、おそらく死亡や重篤な感染症のリスクが減少する可能性があることが示された。障害や発達の成果に影響を与えているというエビデンスはない。極早産児(12週以上の早産)および超低出生体重児(1000g未満)を対象とした試験はほとんどなく、これらの解析では壊死性腸炎、死亡、重篤な感染症への影響は認められなかった。

エビデンスの確実性
壊死性腸炎に対する効果のエビデンスは、信頼性の低い方法で行われた小規模な試験によって導かれたことにより効果が偏っている可能性が懸念されるため、「確実性は低い」とした。

訳注: 

《実施組織》小林絵里子、杉山伸子 翻訳[2021.03.10]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD005496.pub5》