母体および新生児アウトカムの改善を目的とした多胎妊婦に特化した妊娠管理外来

論点は何か?

2人以上の赤ちゃんを妊娠している女性(多胎妊娠)は、母体と赤ちゃんの健康に影響を与える合併症のリスクが高くなる。多胎妊婦のための「専門的な」妊娠管理外来は、通常の妊娠管理外来に通う場合と比べて、妊婦とその赤ちゃんの転帰を改善するかどうかを検討した。

なぜこれが重要なのか?

多胎の赤ちゃんは、早産になりやすく、肺などの未熟な器官に問題が生じる可能性が高くなる。このような赤ちゃんは、生き延びる可能性も低くなる。2人以上の赤ちゃんを身ごもった女性は、高血圧、糖尿病、出血などの合併症のリスクが高まる。そのため、妊娠中に専門的な診療を行うことで、これらの赤ちゃんや母親の転帰を改善できるかどうかを確認することが重要である。このような専門外来では、妊娠中に同じ助産師に診てもらうことや、より多くの妊婦健診を受けること、追加情報を得ることなどが含まれる。

得られたエビデンス

162人の女性とその赤ちゃんを対象とした小規模な研究が1件見つかった(検索日:2015年5月31日)。このレビューのアウトカムに関する研究の質は、非常に低いから中等度であった。最も興味を持っていたのは、早産の可能性や赤ちゃんの健康状態、生存率などだったが、この研究は規模が小さすぎて、このレビューの疑問に対する答えは得られなかった。多胎妊婦が多胎妊娠専門外来に通っていると、帝王切開で出産する確率が高いことがわかった。

これは何を意味するのか?

多胎妊婦のための専門外来の利用を支持する良質なエビデンスは十分ではない。本レビューの臨床疑問に答えるために、より多くの質の高い研究が早急に求められている。

このレビューの結果の一部を視覚的にまとめたものは、こちら(画面上のバージョン)またはこちら(印刷用バージョン)でご覧いただける。

訳注: 

《実施組織》小林絵里子、阪野正大 翻訳[2021.10.14]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD005300.pub4》

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