2型糖尿病の人に対する個別の患者教育

著者の結論: 

本システマティック・レビューから、ベースライン時のHbA1cが8%を超える人のサブグループを対象とした場合、通常ケアと比較して、血糖コントロールに対して個別教育による利益が示唆されている。しかし、全体的には、個別教育と通常ケアとの間に有意差はないように思われた。グループ教育と個別教育とを比較した少数の研究では、12ヵ月および18ヵ月の時点でHbA1cに対する影響は同等であった。これらの所見をさらに明らかにするために、追加的な研究が必要である。

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背景: 

2型糖尿病は一般的な費用のかかる慢性疾患であり、有意な早期死亡率および罹病率と関連がある。患者教育は糖尿病のケア要素に不可欠であるが、異なる教育方法や様式の有効性に関しては依然として不確かである。

目的: 

代謝コントロール、糖尿病の知識、社会心理的アウトカムに関する個別の患者教育の有効性を評価する。

検索方法: 

コクラン・ライブラリ、MEDLINE, Premedline、ERIC、Biosis、AMED、Psychinfo、EMBASE、CINAHL、APAIS-health、Australian Medical Index、Web of Science、学位論文の抄録およびBiomed Centralを含む複数の電子書誌データベースを検索した。

選択基準: 

2型糖尿病の成人を対照に個別教育を評価したランダム化比較試験および比較臨床試験。本介入は個別の対面式患者教育であり、一方、コントロールの個人には通常ケア、ルーチン治療またはグループ教育を実施した。アウトカム指標をベースラインから最低6ヵ月時点で評価していた研究のみを含めた。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが情報を抽出し、研究の特性とアウトカムの統計量の両方を要約した。十分に均質性のある特定のアウトカムを有する適切な研究がある場合には、固定効果モデルを用いてメタアナリシスを実施した。研究が少なすぎる場合、あるいは評価の測定が標準化されていないまたは一定でない場合のアウトカムについては、結果を定性的に要約した。

主な結果: 

1359例の参加者を対象とした9件の研究が選択基準に適合した。6件の研究は個別教育を通常ケアと比較しており、3件は個別教育をグループ教育と比較していた(参加者361例)。長期研究はなく、全体的に研究の質は高くなかった。個別の対面式教育を通常ケアと比較していた6件の研究では、個別教育が12ヵ月から18ヵ月にわたって血糖コントロールを有意に改善させたとは言えなかった(HbA1cの重み付け平均差(WMD)-0.1%(95%信頼区間(CI)-0.3~0.1、P=0.33)。しかし、ベースライン時の平均HbA1cが8%よりも高い参加者を対象とした3件の研究のサブグループ解析に基づけば、血糖コントロールに関して個別教育による有意な利益があったと考えられた(WMD -0.3%(95%CI -0.5~-0.1、P=0.007)。個別教育をグループ教育と比較していた2件の研究では、12ヵ月から18ヵ月の時点で個別教育とグループ教育の間で血糖コントロールに有意差はなく、HbA1cのWMDは0.03%であった(95% CI -0.02~0.1、P=0.22)。肥満指数、収縮期血圧、拡張期血圧に対する個別教育による影響は、通常ケアまたはグループ教育と比較して有意差はなかった。食事の自己管理、糖尿病の知識、社会心理的アウトカム、喫煙習慣に対する個別教育の効果についてのメタアナリシスを行うには研究が少なすぎた。これらの研究から、糖尿病の合併症、医療サービスの利用および費用解析に関するその他の主要なアウトカム指標についてのデータは入手できなかった。

訳注: 

監  訳: 曽根 正好,2009.5.13

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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