乳癌治療に起因する上肢機能障害に対する運動介入

著者の結論: 

乳癌の女性において、運動は有意で臨床的に意味のある肩ROM改善をもたらす。術後期間において、運動の早期実施を考慮すべきである。しかし、このアプローチについては創傷ドレナージの量増加や期間延長を生じる可能性と注意深く比較考量すべきである。運動処方の要素(例えば強度)を厳密にモニターし、持続的上肢機能障害を取り扱った良質なリサーチ研究が必要である。

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背景: 

上肢機能障害は、乳癌治療でよく報告される副作用であり、肩の可動域(関節を動かすことができる範囲)(ROM)および強度の低下、疼痛およびリンパ浮腫などが含まれる。

目的: 

乳癌治療に起因する上肢機能障害の予防、最小化、または改善における運動介入の有効性を評価しているランダム化比較試験(RCT)をレビューする。

検索戦略: 

Specialised Register of the Cochrane Breast Cancer Group、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、およびLILACSを検索し(2008年8月まで);専門家に連絡を取り、参考文献リスト、会議議事録、診療ガイドライン、他の未発表文献ソースをハンドサーチした。

選択基準: 

上肢機能障害に対する運動の有効性と安全性を評価しているRCT。

データ収集と分析: 

2人のレビューアが独自にデータ抽出を行った。欠失データを求めて治験担当医師に連絡を取った。

主な結果: 

24件の研究(参加者2132例)を選択した。24件中10件は方法論的な質が適切であるとみなされた。10件の研究が術後運動の早期実施と遅延実施の有効性を比較・検討した。運動の早期実施は遅延実施よりも肩屈曲ROMの短期回復に有効であった(重み付け平均差(WMD):10.6度;95%信頼区間(CI):4.51~16.6);しかし、運動の早期実施は統計学的に有意な創傷ドレナージ量増加(標準化平均差(SMD)0.31;95%CI:0.13~0.49)およびドレナージ期間延長(WMD:1.15日;95%CI:0.65~1.65)を生じた。14件の研究が構造化運動の効果を通常ケアと比較・検討した。そのうち6件が術後、3件が補助療法中、5件が癌治療後であった。術後期間における構造化運動プログラムは短期で肩屈曲ROMを有意に改善した(WMD:12.92度;95%CI:0.69~25.16)。理学療法は肩機能の更なる改善を介入後(SMD:0.77;95%CI:0.33~1.21)および6カ月フォローアップ後(SMD:0.75;95%CI:0.32~1.19)生じた。いかなる時点でも運動からのリンパ浮腫リスクが高まるというエビデンスはなかった。

訳注: 

監  訳: 尹 忠秀,2011.3.1

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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