サイアザイド系利尿薬と大腿骨近位部骨折リスク

著者の結論: 

観察研究に基づくと、サイアザイドは大腿骨近位部骨折リスクを低下すると考えられる。これらの所見を確認するためRCTが必要である。

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背景: 

サイアザイド系利尿薬は世界中で最もよく処方される降圧薬の一つである。サイアザイドは尿中カルシウム排泄を減少させる。サイアザイドの慢性的服用は高い骨ミネラル密度に関連している。サイアザイドは大腿骨近位部骨折を予防すると示唆されている。しかし、利尿薬は高齢者の転倒リスクを高め、大腿骨近位部骨折に対するその利益を打ち消すという懸念がある。

目的: 

成人を対象にサイアザイド系利尿薬使用と大腿骨近位部骨折リスクとの関連を評価すること。

検索方法: 

MEDLINE、EMBASE、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature(CINAHL)、International Pharmaceutical Abstracts、Database of Abstracts of Review of Effects(DARE)、以前のレビューと選択した研究の参考文献リストを対象に、2008年12月までの適格な研究を検索した。

選択基準: 

サイアザイド系利尿薬使用と大腿骨近位部骨折との関連を評価しているすべてのランダム化比較試験と観察研究。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に選択基準を適用し、データを抽出し選択した各研究のバイアスリスクを評価した。結果は記述的かつ定量的に要約した。コホート研究と症例対照研究は別々に解析した。

主な結果: 

RCTは認められなかった。約40万例の参加者を含む21件の観察研究を選択した。6件はコホート研究で15件は症例対照研究であった。2件のコホート研究は同一のコホートを含むと考えられ、重複しない研究は5件のみであった。バイアスリスクはNewcastle-Ottawa Scale(NOS)により評価した。5件のコホート研究はバイアスリスクが低く、1件のバイアスリスクは中等度であった。7件の症例対照研究のバイアスリスクは低く、8件のバイアスリスクは中等度であった。コホート研究のメタアナリシスでは、サイアザイドの使用は大腿骨近位部骨折リスク低下に関連していた(24%低下、統合RR 0.76、95% CI 0.64~0.89、p = 0.0009)。高異質性のため、症例対照研究についての統合した要約統計量は提示しないこととした(Tau2 = 0.03、I2 = 62%、p = 0.0008)。

訳注: 

監  訳: 林 啓一,2012.2.7

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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