齲蝕の抑制のためのフッ素徐放性装置

レビューの論点

乳歯および永久歯のすべての歯面におけるむし歯の進行を予防、停止、または回復させる、さまざまな種類のフッ素徐放性装置の効果を評価した。

背景

虫歯は人口の中で均等に発生しているわけではなく、特定の集団においては他の集団よりもむし歯になるリスクが高い。例えば、スコットランドにおける調査によると、虫歯の50%は11%の5歳児で発生しており、また、14歳児においては、6%のみにおいて発生している。このような偏在性を考慮すると、これらのごく一部の子どもに対象を絞って予防措置を提供することで、大きな費用対効果が期待できると考えられている。そのような予防措置の1つとして、フッ素徐放性装置(例:ゆっくりと溶解するフッ化物徐放ガラスビーズ)が用いられている。

研究の特徴

コクランオーラルヘルスグループに所属する著者が、文献レビューを実施した。エビデンスは2018年1月23日までのものである。小児または成人を対象に、フッ素徐放性装置での治療を、他の種類のフッ化物治療(歯磨き、マウスリンス、ジェル、ワニスなど)、プラセボ(偽治療)、または無治療(通常のケア)と比較した臨床試験を科学データベースで検索した。治療は最低1年間の継続と観察を条件とした。

主要な結果

174人の小児を、ゆっくりと溶解するフッ化物徐放ガラスビーズ、または、プラセボのビーズのいずれかに無作為に割り当てた研究が1件見つかった。研究が実施された場所は、低フッ素水が供給されている地域にある都心の学校であった。最終的に48%の小児だけがビーズを使用しており、分析の対象となった。

フッ素徐放性装置(ガラスビーズなど)がむし歯の減少に役立つかどうかを判断するには十分な証拠がない。ビーズの使用継続が問題である。

エビデンスの質

むし歯の増加、副作用、ビーズの保持に関するエビデンスは非常に質が低い。

訳注: 

《実施組織》屋島佳典 翻訳 堺琴美 監訳[2022.01.06]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD0005101.pub4》 

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