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進行胃癌または末期胃癌の寛解導入に対する漢方薬

胃癌は消化管の悪性腫瘍の一つで、癌の中でも罹患率が高い。また、進行期や末期まで悪化すると死に至りやすい。胃癌の悪性化を遅らせるか、または止めることができる介入はほとんどない。しかし、中国では多くの胃癌患者を対象とした代替療法として数種類の伝統的な漢方薬(TCMH)を用いている。これらの漢方薬は、進行期または末期の胃癌の補助療法として有効な可能性がある。QOLや寛解率の改善、化学療法による有害性および副作用の緩和、または短期死亡率の低下に対するTCMHの有効性については、初回の調査では確固たるエビデンスは確認されなかった。限定的で弱いエビデンスであるが、4種類のTCMH注射(Huachansu、Aidi、Fufangkushen、Shenqifuzheng)は白血球減少症の改善、 Huachansu、Aidi、Fufangkushenは消化器系の有害事象に対して統計学的に有意差が示されたが、短期寛解率には有意差が認められなかった。選択した研究のほとんどは質が低く、有効な比較試験がほとんどない。そのため、TCMHの有効性について確固たる結論に至るためのメタアナリシスには、さらに多くの試験が必要である。

背景

胃癌は、進行期または末期に至ると治癒は困難である。胃癌の寛解に対し、一部の化学療法または生物学的療法は進歩してきているが、胃癌の死亡率は依然として高い。胃癌の治療には、さまざまな漢方薬が用いられている。

目的

進行胃癌または末期胃癌の短期寛解に対する漢方薬の有効性を評価すること。 。

検索戦略

Cochrane Library、MEDLINE、EMBASE、AHMED(Allied and Complementary Medicine Database)およびCBM(Chinese Biomedical Database)をデータベースの初年から2011年6月までを検索した。 多くの雑誌もハンドサーチした。

選択基準

進行胃癌または末期胃癌に対する漢方薬のすべてのランダム化臨床試験を含めた。

データ収集と分析

2名の著者が独立してデータを抽出し、RevMan 5.1ソフトウェア(「RevMan 2011」)を用いて解析した。revman 20112値データについては相対リスクを推定した。連続データについては、重み付け平均差を算出した。

主な結果

6857例の進行胃癌または末期胃癌患者を対象とした85件の試験を同定し、選択した。ほとんどの試験の質は低く、伝統的な漢方薬(TCMH)と化学療法の併用を、同化学療法単独(65件の試験)と比較していた。4種類のTCMHを用いた23件の試験を除き、同じ介入またはアウトカムを用いたのは2件以下だったため、結果を統合することができなかった。

TCMHは、57件の試験では単独または化学療法と併用して用いられた。そのうち、9件の試験では死亡率、16件の試験ではQOL、11件の試験では寛解率、および5件の試験では白血球減少症の改善について統計学的に有意差が認められた。4種類のTCMH注射(Huachansu、Aidi, FufangkushenおよびShenqifuzheng)からの蓄積された結果は、白血球減少症の改善に統計学的な有意差を示したが、短期寛解率には有意差を示さなかった。

著者の結論

本レビューでは、QOLや寛解率の改善、化学療法の有害性や副作用の緩和、または短期死亡率の低下において、TCMHの有効性に対する確実なエビデンスが確認されなかった。限定的で弱いエビデンスであるが、化学療法と併用した場合に、Huachansu、Aidi、Fufangkushen、Shenqifuzhengによって白血球減少症が改善され、Huachansu、Aidi、Fufangkushenは化学療法によって発症した消化器系の有害事象に対して有効であることが示された。これらのTCMHは、短期寛解率を改善しなかった。進行胃癌または末期胃癌に対するTCMHの価値について確定的な結論に至るには、適切にデザインされた大規模臨床試験の必要性が迫られている。

訳注

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2015.12.31]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

Citation
Yang J, Zhu L, Wu Z, Wang Y. Chinese herbal medicines for induction of remission in advanced or late gastric cancer. Cochrane Database of Systematic Reviews 2022, Issue 3. Art. No.: CD005096. DOI: 10.1002/14651858.CD005096.pub4.

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