生殖補助医療で採卵を受ける女性に対する鎮痛

レビューの論点

コクラン レビューの著者らは経腟採卵(体外受精に用いるために卵巣から卵を回収する手法)を行う際の鎮痛方法について、その効果と安全性を調査した。

背景

意識下鎮静では、鎮静中に患者と口頭でのコミュニケーションが取れる状態を維持しつつ、処置が遂行できるだけの弛緩状態をもたらす薬物を使用する。意識下鎮静と鎮痛が、体外受精の手順において、体外(すなわち、研究室などの人工環境) で受精をさせるために卵巣から卵を回収する手術の痛みを和らげるために使用する方法である。鎮静と鎮痛のために用いられる薬物が妊娠率に悪影響を及ぼすかもしれないという懸念が存在する。

研究の特性

このレビューでは、3160 人の女性を含む 24 のランダム化比較試験が同定され、意識下鎮静や全身麻酔を含む鎮痛など 5 つの異なる方法の効果を比較した。ランダム化比較試験は、新しい治療方法を検討する時に、治療群またはコントロール群に対象者を無作為に割り当てることによって、バイアスを小さくする方法を用いる。エビデンスは、2017年11月現在のものである。

主要な結果

ある特定の方法や技術が、採卵中および採卵後の痛みを軽減するために、他の方法を凌駕する効果的な意識下鎮静と鎮痛をもたらすことを示す証拠は得られなかった。モルヒネ様物質のような鎮痛剤を併用した鎮静に加えて、傍子宮頸管ブロックや鍼治療などを併用すると、一つの方法だけで鎮痛を図るより良い効果を得られた。どの介入方法が妊娠率に影響を及ぼすかについて結論を得るにはエビデンスが不十分であった。レビューで取り上げたすべての技術は、高い患者満足度が得られた。実臨床においては、提供できる鎮痛方法を提示し、患者の希望や選択を考慮するのが望ましい。

エビデンスの質

エビデンスの質は概して低度から非常に低度であった。主な理由は、報告方法が悪く、事象がまれなのにもかかわらずサンプルサイズが小さいためであった。女性における痛みの経験やその対処に対する意識はばらつきがあるので、個別に扱うのが最適な方法であろう。

訳注: 

《実施組織》杉山伸子 井上円加 翻訳[2018 .06.03] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。  《CD004829》

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