切除不能な肝細胞癌に対する経動脈的(化学)塞栓療法

著者の結論: 

切除不能なHCCの患者に対するTACEまたはTAEを支持または否定する確固としたエビデンスは認められない。さらに適切な検出力があり、バイアスから保護された試験が必要である。

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背景: 

肝細胞癌(HCC)によって年間600,000人以上が死亡している。経動脈的塞栓療法(TAE)と経動脈的化学塞栓療法(TACE)は、切除不能なHCCに対する標準的な局所-領域治療になっている。

目的: 

TACEまたはTAEの有益な効果と有害な影響を評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Hepato-Biliary Group Controlled Trials Register、Cochrane Cancer Network register、Cochrane LibraryのCochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE、EMBASE、Science Citation Index Expanded、Latin American Caribbean Health Sciences Literature(LILACS)を開始日から2010年9月まで検索した。

選択基準: 

TACEまたはTAEをプラセボ、偽治療または介入なしの場合と比較したすべてのランダム化試験を選択した。介入群の間で同じである場合は、同時介入を認めた。ランダム化が不適切な試験は除外した。

データ収集と分析: 

総死亡率について、点推定値として標準誤差とともに対数ハザード比を計算してプールし、逆分散法を用いてメタアナリシスを行った。介入レジメン、試験打切りまたは同時介入によるサブグループ解析を実施した。試験の逐次解析による結果を検証した。試験間の統計的異質性を予測して、すべてのメタアナリシスでランダム効果モデルを使用した。

主な結果: 

645例の参加者を対象とする9件の試験を選択した。6件の試験ではTACEを対照と比較評価し、3件の試験ではTAEを対照と比較評価していた。7件の試験は、割りつけ順序の作成と割りつけの隠蔵化が適切であったため、選択バイアスのリスクは低かったが、これらすべての試験には他のバイアスのリスクがあった。3件の試験は中間調査のため、また、1件の試験は累積が緩徐であるため、早期に中止していた。総死亡率については、試験間の統計的異質性は低いか、あるいは中等度であった(I2= 30%)。選択バイアスのリスクが低い試験のメタアナリシスでは、TACEまたはTAEは対照に比較して生存率が有意に高くはないことが明らかになった(HR 0.88、95%CI 0.71~1.10)。選択バイアスのリスクが低く早期中止と同時介入のない2件の試験では、TACEまたはTAEが総生存率に及ぼす有意な効果は認められなかった(ハザード比 1.22、95%信頼区間 0.82~1.83、P = 0.33)。試験の逐次解析によって、TACEまたはTAEが生存率に及ぼす有益な効果を示すエビデンスはないことが確認され、追加的な最大383例の参加者をランダム化する必要性が示された。腫瘍反応に対する効果を評価する基準にかなりの違いがあったため、定量解析はできなかった。1件の試験は生活の質を調べていたが、介入群間で有意差は検出されなかった。塞栓術後症候群などのさまざまな有害事象と重篤な合併症が報告された。

訳注: 

監  訳: 吉田 雅博,2011.10.4

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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