腰痛に対する浅部の温熱療法または寒冷療法

著者の結論: 

腰痛に対して浅部の温熱療法および寒冷療法を習慣的に行うことを支持するエビデンスは少なく、今後、さらに質の高いランダム化比較試験を行う必要がある。少数の試験には、温熱ラップ療法は、急性および亜急性腰痛が混在する人の疼痛および日常動作障害を短期間ではあるが軽減し、運動を追加することにより、疼痛をさらに軽減し機能を改善することを示す中等度のエビデンスが存在する。腰痛に対する寒冷療法の適用についてはエビデンスがさらに少なく、質の低い研究が3件見つかっただけである。腰痛に対する温熱療法と寒冷療法の差については相反するエビデンスが存在し、判断できない。

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背景: 

温熱療法および寒冷療法は腰痛の治療によく利用されており、医療専門家に限らず、腰痛の人もこれを利用している。

目的: 

成人の腰痛に対する浅部の温熱療法および寒冷療法の効果を評価する。

検索戦略: 

Cochrane Back Review Group Specialised register、Cochrane Central Register of Controlled Trials(Cochrane Library Issue 3、2005年)、MEDLINE(1966~2005年10月)、EMBASE(1980~2005年10月)および他の関連性のあるデータベースを検索した。

選択基準: 

腰痛を有する人を対象に浅部の温熱療法または寒冷療法を検討したランダム化比較試験および非ランダム化比較試験。

データ収集と分析: 

Cochrane Back Review Groupが推奨する基準を用いて、2名のレビューアが独立して方法論的な質を評価し、データを抽出した。

主な結果: 

参加者1117名を含む9件の試験を組み入れた。急性および亜急性腰痛が混在する参加者258名を対象とした2件の試験では、温熱ラップ療法が5日後に経口プラセボに比べ有意に疼痛を軽減した(重みつき平均差(WMD)1.06、95%信頼区間(CI)0.68~1.45、尺度範囲0~5)。急性腰痛を有する参加者90名を対象とした1件の試験では、温熱毛布は適用後まもなく、急性腰痛を有意に軽減した(WMD-32.20、95%CI-38.69~-25.71、尺度範囲0~100)。急性および亜急性腰痛が混在する参加者100名を対象とした1件の試験では、温熱ラップ療法に運動を加えた治療法の付加的効果を検討しており、7日後に疼痛が軽減されることがわかった。腰痛に対する寒冷療法の効果については、エビデンスが不十分で評価ができず、温熱療法と寒冷療法の差についてはエビデンスが一致していない。

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