不安障害に対するセイヨウカノコソウ(バレリアン)

不安障害は地域社会で非常に多くみられるメンタルヘルスの問題である。不安障害の治療に用いる薬剤の大多数は副作用がある。セイヨウカノコソウ(バレリアン)は不眠症に用いられることが多い植物療法薬である。本研究の目的は、不安障害に対するセイヨウカノコソウの有効性および安全性を検討することであった。36名を対象にセイヨウカノコソウをプラセボまたはジアゼパムと比較した1件の研究のみが同定された。セイヨウカノコソウとプラセボの間、またはセイヨウカノコソウとジアゼパムの間で、医師評価型不安症状に対する有効性に有意差は認められず、セイヨウカノコソウとジアゼパムのいずれも同程度に良好な忍容性を示した。しかし、不安障害の治療選択肢としてのセイヨウカノコソウの有効性および安全性に関する結論を導くには、より参加者数の多い新たな研究が必要である。

著者の結論: 

現時点では1件の小規模な研究のみが入手可能であるため、不安障害に対し、セイヨウカノコソウをプラセボまたはジアゼパムと比較した場合の有効性および安全性に関する結論を導くのに十分なエビデンスが得られていない。セイヨウカノコソウをプラセボまたは抗うつ薬など不安障害の治療に用いる他の介入と比較した、よりサンプルサイズが大きなRCTが必要である。

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背景: 

不安障害は、一般集団やプライマリケアの現場できわめて多くみられるメンタルヘルスの問題である。薬草製剤は人気があり、世界中で使用されており、有効性および安全性が示された場合、不安障害の治療選択肢となる可能性がある。

目的: 

不安障害に対するセイヨウカノコソウ(バレリアン)の有効性および安全性を検証すること。

検索方法: 

The Cochrane Collaboration Depression、Anxiety and Neurosis Cochrane Controlled Trials Register (CCDANCTR-StudiesおよびCCDANCTR-References) 検索日2006年8月4日、MEDLINE、Lilacs。同定したすべての研究の参考文献から、さらに研究を検索した。組み入れた研究の筆頭著者、セイヨウカノコソウ製剤の製造業者およびこの分野の専門家に、未発表の試験に関する情報について問合せを行った。

選択基準: 

一次診断が全般性不安障害、不安神経症、慢性不安状態、その他不安が主訴の障害(パニック障害、強迫性障害、社会恐怖、広場恐怖、その他の恐怖症、心的外傷後ストレス障害)の患者にあらゆる用量、レジメン、投与方法でセイヨウカノコソウ抽出物を投与したランダム化比較試験(RCT)および準ランダム化試験。臨床アウトカムおよび不安症状の評価尺度を用いて有効性を評価した。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者がそれぞれ選択基準を適用し、データ抽出・入力を行い、試験の質を評価した。不一致が認められた場合は、さらに別のレビュー著者と協議した。対象試験の方法の質はコクランハンドブックの基準を用いて評価した。二値アウトカムについては相対リスク(RR)を計算し、連続アウトカムについては重み付け平均差(WMD)を計算し、いずれも95%信頼区間を求めた。

主な結果: 

全般性不安障害の患者36名を対象とした1件のRCTが選択基準を満たした。この試験は、セイヨウカノコソウ、ジアゼパムおよびプラセボを検討した4週間パイロット試験であった。セイヨウカノコソウ群とプラセボ群でハミルトン不安評価尺度(HAM-A)の総合スコアおよび身体・精神要因スコアに有意差は認められなかった。同様に、セイヨウカノコソウ群とジアゼパム群でHAM-Aスコアに有意差は認められなかったが、STAI-Traitスコアについては、ジアゼパム群において有意な症状改善が認められた。副作用を発現した患者数および脱落率については3群間で有意差は認められなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.2.3]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
 CD004515 Pub2

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