妊娠中や産褥期における症候性および/または複雑化した痔の保存的管理

著者の結論: 

経口投与のヒドロキシエチルルトシドによる治療は、第1~2度の痔の症状緩和に有望なようであるが、新しいエビデンスよって女性とその臨床医に安全性を保証するまでは、その使用を推奨することはできない。最も一般的に用いられるアプローチ(例えば、食事是正や局所治療)は妊娠中および産褥期間中適切に評価されなかった。

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背景: 

痔とは肛門やその近くの腫脹した静脈であり、通常は無症候性である。症候性にならない限り疾患にはならない。妊娠や産褥は症候性の痔を生じやすくし、これらの時期において最も一般的な肛門直腸疾患である。症状は通常軽度かつ一過性であり、間欠的な肛門からの出血や疼痛などがある。疼痛の程度によって、QOL(quality of life)は影響を受けることがあり、その障害の程度は軽度の不快感から日常生活活動に取り組むことへの困難まで様々である。妊娠中の治療は主に症状の緩和、特に疼痛コントロールに向けられる。いわゆる保存的管理には食事の是正、腸通過の刺激物あるいは抑制物、局所治療、フレボトニック(毛細血管脆弱性を軽減し、静脈不全における微小循環を改善する薬剤)などがある。多くの女性では、症状は出産後まもなく自然に消散し、従って、矯正治療は通常は出産後のある時点にまで延期される。それゆえ、本レビューの目的は妊娠中および産褥期中の痔の保存的管理の有効性を評価することである。

目的: 

妊娠中および産褥期の症候性の痔に対する保存的管理で起こり得る利益、リスク、副作用を明らかにする。

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Registerを検索した(2010年3月)。

選択基準: 

妊娠中および産褥期の症候性の痔に対するなんらかの保存的治療(例えば、食事是正、腸通過の刺激物/抑制物、局所治療、静脈不全における微小循環を改善する薬剤)をプラセボまたは無治療と比較しているランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析: 

2人のレビューアが独自にどの研究をレビューに選択/除外すべきかを決定するため方法論的評価を行い、データを抽出した。

主な結果: 

10件の適格である可能性のある研究から、2件を本レビューに選択した(150例の女性)。両研究とも経口投与のルトシドをプラセボと比較した。ルトシドは痔疾患に対する医療提供者により同定された徴候、および女性により報告された症状および徴候を軽減するのに有効であるようである。アウトカムに関しては、治療無効のリスク比0.07(95%信頼区間0.03~0.20)であった。周産期アウトカムに関して、1例の胎児死亡と1例の先天奇形(曝露とは関連しないと思われる)がコントロール群と治療群それぞれに報告された。

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