うつ病に対する鍼療法

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うつ病は我々の社会において広く経験されている。臨床的うつ病において、罹患者は普通であれば楽しめる生活や活動に関心が持てないと訴えている。これには、体重減少、過食、無用感、睡眠障害、自己怠慢、ひきこもり、不眠症または過眠症(睡眠過多)、エネルギー喪失、自尊心低下および集中力低下などの症状を伴う場合がある。

鍼灸は中国や日本で長い歴史がある。中医学の理論において、健康状態は身体エネルギーのバランスで維持されるものと言及している。鍼治療は、身体エネルギーの不均衡を修正するために、細い鍼を身体のさまざまな部位に刺入する。鍼治療には、伝統的/古典的な鍼治療、耳鍼、トリガーポイント鍼治療、一経穴のみ使用する鍼治療など、さまざまなスタイルの鍼治療がある。中医学(TCM)と古典的な鍼灸は、陰陽論、五行論に基づき、病気と生理機能を説明する。西洋医学の鍼治療は、トリガーポイント、セグメントポイント、一般的に使用されるフォーミュラポイントを使用した鍼治療である。医療的な鍼治療は、TCMの原則や理論ではなく、神経生理学および解剖学の原則に基づいて、鍼治療を適応する。耳鍼は、耳の診断を行い、その後耳上の経穴に鍼をする。

うつ病の自助グループおよび補完的治療による治療が好ましいことを示す数々の研究がある。本レビューとメタアナリシスは、2812名の参加者を対象とした30件の試験を組み入れたが、鍼治療がうつ病マネジメントを助けうるというエビデンスは不十分であった。

著者の結論: 

うつ病の人に鍼治療を用いることを推奨するには、エビデンスが不十分であることが認められた。選択基準を満たしている大多数の試験における結果には高いバイアスのリスクによる制限が認められた。

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背景: 

地域社会において、うつ病に対する自助グループおよび補完的療法の活用に関心が向けられている。本レビューは、うつ病の治療に鍼を用いることを裏付ける、現在得られているエビデンスを検討した。

目的: 

うつ病の治療における鍼の有効性と有害作用を調査すること。

検索方法: 

CCDAN-CTR、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)、MEDLINE(1966年〜2008年12月)、EMBASE(1980年〜2008年12月)、PSYCINFO(1874年〜2008年12月)、the Database of Abstracts of Reviews of Effectiveness(DARE)、CINAHL(1980年〜2008年12月)、Wan Fangデータベース(2008年12月まで)。用いられた用語:「depression(うつ病)」、「depressive disorder(抑うつ障害)」、「dysthymic disorder(気分変調性障害)」、「acupuncture(鍼治療)」

選択基準: 

選択基準は、鍼治療と偽鍼治療、無治療、薬理学的治療、他の構造化された心理療法(認知行動療法、心理療法またはカウンセリング)、または標準治療とを比較した、すべての発表済みおよび未発表のランダム化比較試験を対象とした。鍼治療、電気鍼治療またはレーザー鍼治療の治療法を対象とした。臨床記述に定義、または診断と統計マニュアル(DSM-IV)、研究診断基準(RDC)、国際疾病分類(ICD)またはCriteria for Classification and Diagnosis of Mental Diseases CCMD-3-Rにより診断された、うつ病の成人の男女を参加者として組み入れた。

データ収集と分析: 

メタアナリシスは、95%信頼区間を用いて、二値アウトカムに相対リスク、連続アウトカムに標準化平均差を用いて行った。主要アウトカムは、自己評価尺度、または臨床医による評価尺度で測定されたうつ病の重症度の低下、また寛解と非寛解との比較として定義されるうつ病の改善であった。

主な結果: 

本レビューはアップデート版であり、現在30件の研究データを含んでいる。最近の検索に続いて、23件の新しい研究が追加され、さらに(最適用量未満の薬物投与、臨床的アウトカムの欠如、不十分な報告のため)11件の試験が除外された。2,812名の参加者を含む30件の試験をメタアナリシスに組み入れた。

多くの試験でバイアスのリスクが高かった。待機リスト対照または偽鍼治療と比較して、鍼治療の一貫した有益な効果のエビデンスは不十分であった。2件の試験は、薬剤単独と比較して、薬剤を併用した場合に鍼治療は付加的な利益がある可能性があることが認められた。併存症としてのうつ病の参加者で構成されたサブグループは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と比較して、マニュアル手法の鍼治療によるうつ病の減少を経験した(RR 1.66、95%CI 1.03、2.68)(3件の試験、94名の参加者)。大多数の試験は、マニュアル手法の鍼治療および電気鍼治療と薬剤とを比較し、グループ間で効果がないことが認められた。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.2.1]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
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