早産児の侵襲的真菌感染に対する系統的抗真菌薬

早産児および状態不良の新生児には、カンジダ(鵞口瘡を起こす微生物)などの真菌による、重篤な血液、脳、腎臓への感染リスクがある。重度の真菌感染は、新生児の高死亡率と長期的脳障害に関連している。真菌感染治療に対する様々な種類の薬が市販されている。しかし、本システマティック・レビューでは、ある種の抗真菌薬を別のものより支持する非常に限定的なエビデンスしか認められなかった(1件の小規模試験)。新規の大規模試験により、この不確実性が解消されるまで、臨床医は小児と成人での研究から外挿した(推定した)データに基づいた抗真菌薬の選択を継続する可能性がある。

著者の結論: 

診療行為に有用なデータは不十分であった。侵襲的真菌感染新生児の治療に対する抗真菌薬、調整法、併用療法を比較する大規模ランダム化比較試験が必要である。

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背景: 

侵襲的真菌感染疑い、またはその確定診断を受けた新生児の治療のため、様々な種類と調整法の抗真菌薬とその併用療法が市販されており、それらの相対的長所を評価する必要がある。

目的: 

侵襲的真菌感染疑い、またはその確定診断を受けた新生児における死亡率および罹病率に対して、様々な抗真菌薬、調整法、併用療法による治療の効果を評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Neonatal Review Groupの標準的検索法を用いた。Cochrane Central Register of Controlled Trials(コクラン・ライブラリ2012年第2号)、MEDLINE、EMBASE、CINAHL(2012年3月まで)、学会抄録、および過去のレビューを検索した。

選択基準: 

侵襲性真菌感染疑い、またはその確定診断を受けた新生児を対象に一つの抗真菌薬または併用療法を別の抗真菌薬または併用療法と比較しているランダム化および準ランダム化比較試験。

データ収集と分析: 

Cochrane Neonatal Review Groupの標準的方法を用いてデータを抽出した。各レビューアが試験の質の個々の評価とデータ抽出を行い、リスク比とリスク差を用いてデータを統合した。

主な結果: 

新生児24名参加の小規模の試験を1件のみ同定した。この試験は、アムホテリシンB(真菌性髄膜炎がある場合は5フルオロシトシンを追加)とフルコナゾールの使用を比較していた。本試験では、死亡率に対する統計学的に有意な効果を認めなかった(リスク比0.73、95%信頼区間、0.26~2.05)。

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