ヘリコバクター・ピロリ陽性患者の消化性潰瘍疾患に対する除菌治療

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著者の結論: 

1~2週間コースのH. pylori根絶治療は、H. pylori陽性の消化性潰瘍疾患に対する有効な治療法である。

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背景: 

消化不良の原因として患者の約10%で消化性潰瘍がみられる。十二指腸潰瘍の95%および胃潰瘍の70%がHelicobacter pylori(ヘリコバクター・ピロリ)感染と関連がある。H.pyloriの除菌によって潰瘍の再発率は低下するが、この効果の大きさははっきりしない。

目的: 

主要アウトカムを、初回に治癒した消化性潰瘍の割合および治癒成功後に再発しない患者の割合とした。H. pylori陽性患者を対象に除菌治療をプラセボまたは薬理学的治療と比較した。副次的目的は症状軽減および有害作用とした。

検索戦略: 

MEDLINE(1966年~2008年7月)、EMBASE(1980年~2008年8月)、およびCochrane Central Register of Controlled Trials(2008年第2号)を検索して試験を同定した。関連性のある試験をさらに同定するために、電子検索によって選択した試験の参考文献リストをハンドサーチした。United European Gastroenterology Week(Gutにて発表)およびDigestive Disease Week(Gastroenterologyにて発表)の学会予稿集からの発表済み抄録をハンドサーチした。検索は2003年9月、2004年11月、2005年11月、2008年7月に更新した。Cochrane UGPD Groupのメンバーおよび本分野の専門家に問い合わせ、傑出した臨床試験および関連性のある未発表資料の詳細な情報の提供を要請した。

選択基準: 

H. pylori陽性の成人を対象とした消化性潰瘍疾患の短期的治療および長期的治療に関するランダム化比較試験を解析した。1週間以上のHpylori根絶治療を受けた患者を、潰瘍治療薬、プラセボまたは無治療の患者と比較していたものを含めた。2週間以上にわたって評価した結果を報告している試験を含めた。

データ収集と分析: 

潰瘍治癒、再発、症状の軽減、有害作用に関するデータを収集した。

主な結果: 

64件の試験が適格であった。7件の試験はデータが抽出できず、57件の試験を含めた。十二指腸潰瘍の治癒については除菌治療の方が、潰瘍治療薬(UHD)(試験34件、患者3,910例、潰瘍持続の相対リスク(RR)=0.66、95%信頼区間(CI)=0.58、0.76)および無治療(試験2件、患者207例、RR=0.37、95%CI 0.26~0.53)よりも優れていた。胃潰瘍の治癒については、除菌治療とUHDとの間で有意差を認めなかった(試験15件、患者1974例、RR=1.23、95%CI=0.90~1.68)。十二指腸潰瘍の再発予防については、除菌治療とUHDによる維持療法との間で有意差を認めなかったが(試験4件、患者319例、潰瘍再発のRR=0.73、95%CI=0.42~1.25)、除菌治療は無治療よりも優れていた(試験27件、患者2509例、RR=0.20、95%CI=0.15~0.26)。胃潰瘍の再発予防については、除菌治療の方が無治療よりも優れていた(試験12件、患者1476例、RR=0.31、95%CI 0.22~0.45)。

訳注: 

監  訳: 柴田 実,2010.2.10

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

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