小児の非麻疹肺炎に対するビタミンA

急性呼吸器感染症で最も多いのは肺炎であり、低所得国では5歳未満の小児の主な死因となっている。麻疹の小児に対するビタミンAの補充は、死亡率を低下させ、呼吸器感染症の重症度を軽減することが明らかになっている。この最新のレビューでは、麻疹以外の呼吸器感染症(特に肺炎)の小児に対するビタミンA補助療法の有効性を評価することを目的としている。

非麻疹肺炎の小児にビタミンA補助療法を行った6件の試験(1740例)を見出した。死亡率や入院期間に有意な減少はみられなかった。高用量のビタミンA補充は疾患を悪化させる可能性があるが、低用量のビタミンAは気管支肺炎の再発を有意に減少させた。中用量のビタミンAにより、血清レチノールが正常値の小児において、寛解の徴候がみられるまでの時間が有意に短縮した。非麻疹肺炎でビタミンAによる利益が不十分な理由として、ビタミンAの効果が疾患特異的なものであり、肺炎が麻疹を伴う場合にのみ有効である可能性が考えられる。今後は質の高い研究が求められる。

著者の結論: 

エビデンスでは、死亡率や、罹病の指標の有意な低下を示唆していない。また、非麻疹肺炎の小児におけるビタミンA補助療法について、肺炎の臨床経過に対する効果も示唆していない。しかし、すべての研究がすべてのアウトカムについて調べたわけではないため、メタアナリシスに組み入れることができる研究数が制限されたことから、統計学的な有意差を検出するには統計的検出力が不十分であった可能性がある。

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背景: 

急性呼吸器感染症で最も多いのは肺炎であり、低所得国では5歳未満の小児の主な死因となっている。麻疹の小児に対するビタミンAの補充は、呼吸器感染症の重症度を軽減し、死亡率を低下させることが、複数の臨床試験で明らかになっている。

目的: 

非麻疹肺炎と診断された小児に対するビタミンA補助投与の有効性を評価すること。

検索戦略: 

コクラン・ライブラリ、Acute Respiratory Infections Group's Specialised Regsiterを含むCochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL 2010年、3号)、MEDLINE(1996年~2010年7月第3週)、EMBASE(1990年~2010年8月)、LILACS(1985年~2010年8月)、CINAHL(1990年~2010年8月)、Biological Abstracts(1990年~2010年8月)、Current Contents(1990年~2010年8月)、Chinese Biomedicine Database(CBM)(1994年~2010年8月)を検索した。

選択基準: 

非麻疹肺炎の小児(15歳未満)にビタミンAを補助的に投与した、並行群間ランダム化比較試験(RCT)および準RCTのみを選択した。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者がそれぞれデータを抽出し、試験の質を評価した。その後追加された情報について、試験の著者に連絡した。

主な結果: 

小児1740例を対象とした6件の試験を選択した。ビタミンAを投与した肺炎の小児と投与しなかった小児を比較したところ、死亡率の有意な低下はみられなかった(統合オッズ比(OR)1.29、95% 信頼区間(CI)0.63 ~ 2.66)。また、入院期間に統計学的な有意差はみられなかった(平均差(MD)0.08、95% CI -0.43 ~ 0.59)。高用量のビタミンAを補充後、疾患の重症度がプラセボと比較して有意に悪化した。しかし、低用量のビタミンAは気管支肺炎の再発率を有意に低下させた(OR 0.12、95% CI 0.03 ~ 0.46)。中用量のビタミンAにより、血清レチノールが正常値(> 200 ug/L)の小児において、寛解の徴候がみられるまでの時間が有意に短縮した。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.1.19]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
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