腹腔鏡下大腸癌切除術の長期結果

著者の結論: 

結腸癌の腹腔鏡下切除の長期アウトカムは、開腹結腸切除術と差がなかった。瘢痕ヘルニアおよび癒着の罹患率が手術法によって影響されるかどうかを決定するためには、さらなる研究が必要である。上部直腸癌に対する腹腔鏡下手術は実施可能であるが、長期アウトカムを評価するためには、より多くのランダム化試験を実施する必要がある。

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背景: 

最小侵襲手術はさまざまな疾患について受け入れられてきたが、腹腔鏡下で大腸癌切除を施行する人はほとんどいない。腫瘍学的な根治性および長期アウトカムに関する懸念が、大腸癌に対する腹腔鏡下手術の適用を制限してきた。

目的: 

非転移性大腸癌において開腹手術と腹腔鏡補助下手術後の長期アウトカムを比較すること。

検索戦略: 

発表済および未発表のランダム化比較試験について、コクラン・ライブラリ、EMBASE、PubMedおよびCancer Litを検索した。

選択基準: 

非転移性大腸癌について腹腔鏡補助下手術と開腹手術を比較したランダム化臨床試験を選択した。長期アウトカムを報告していない研究は除外した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独自に研究を評価し、データを抽出した。RevMan4.2を統計的分析に使用した。

主な結果: 

大腸癌について腹腔鏡補助下手術と開腹手術とを比較した33件のランダム化臨床試験(RCT)が同定された。これらの試験のうち12件は3346例の患者を対象とした長期アウトカムを報告しており、今回の解析の対象とした。瘢痕ヘルニアの発生、瘢痕ヘルニアによる再手術または癒着による再手術について、腹腔鏡補助下手術と開腹手術の間に有意差は認められなかった(それぞれ、2件のRCT、患者474例、7.9%対10.9%;P=0.32、2件のRCT、患者474例、4.0%対2.8%;P=0.42、1件のRCT、患者391例、1.1%対2.5%;P=0.30)。原発腫瘍の部位における再発率は同様であった(結腸癌:4件のRCT、患者938例、5.2%対5.6%;OR(固定)0.84(95% CI 0.47~1.52)(P=0.57);直腸癌:4件のRCT、患者714例、7.2%対7.7%;OR(固定)0.81(95% CI 0.45~1.43)(P=0.46)。ポート部位/創傷の再発の発生に差は認められなかった(P=0.16)。腹腔鏡下手術後の癌関連死亡率は開腹手術後と同様であった(結腸癌:5件のRCT、患者1575例、14.6%対16.4%;OR(固定)0.80(95% CI 0.61~1.06)(P=0.15);直腸癌:3件のRCT、患者578例、9.2%対10.0%;OR(固定)0.66(95% CI 0.37~1.19)(P=0.16)。4件の研究を、腹腔鏡下大腸癌手術における腫瘍再発のハザード比についてのメタアナリシスに含めた。腹腔鏡下手術と開腹手術との間で、再発率に有意な差は認められなかった(腹腔鏡下群における腫瘍再発のハザード比0.92;95% CI 0.76~1.13)。結腸癌に対する腹腔鏡下手術と開腹手術との間で、腫瘍再発に有意差は認められなかった(腹腔鏡下群における腫瘍再発のハザード比0.86;95% CI 0.70~1.08)。

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