早産児での早期臍帯結紮と遅延結紮または臍帯ミルキングとの比較

子宮内で、胎児の血液は臍帯を通して出入りし、胎盤が母親の血液から酸素と栄養を胎児に運んでいる。出生後しばらく臍帯を結紮しないでおくと、胎盤からのある量の血液が出生児に流れて(胎盤輸血という)、出生児の血液量が増え、肺などの重要な臓器への血流に役立つ。長い間、胎盤娩出の際の標準ケアは出生時すぐに臍帯を結紮することであった。本レビューでは、迅速な臍帯結紮に比べて、遅延結紮による胎盤輸血の増加を検討した。検討した他の介入は「臍帯ミルキング」で、これは医療者が臍帯を持って出生児に向かって血液を絞り出す操作である。本レビューでは、帝王切開または経膣分娩の在胎24~36週の早産児738名による15件のRCTを選択した。これらの研究では、出生後数秒以内に臍帯結紮を受けた出生児を、30秒以上遅延して臍帯結紮を受けた出生児と比較していた。臍帯結紮の最長遅延時間は180秒であった。遅延臍帯結紮または結紮前の臍帯ミルキングにより付加的な血液を出生児に与えることにより、出生児が新しい環境に適応するのに有用であったと考えられた。貧血のための輸血を要する乳児数が減少し、脳内出血(脳室内出血)リスクおよび壊死性腸炎(重度の腸管感染)リスクが低下した。試験のバイアスリスクは不明で様々なアウトカムの定義が使用されていた。出生児に胎盤血液を送る方法として何が最も有効か比較するさらなる研究が必要である。

著者の結論: 

早期臍帯結紮よりも、30~120秒間の遅延臍帯結紮により、早産児に付加的に胎盤輸血を行うことによって、輸血の必要性が減少し、循環動態がより安定し、脳室内出血(全グレード)が減少し、壊死性腸炎リスクが低下した。しかし、本レビューでの主要アウトカムのいずれに対しても、比較効果について確実な結論を出すデータは不十分であった。

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背景: 

早期産での臍帯結紮を行う至適時期は不明である。早期結紮により出生児を直ちに新生児科医に渡すことができる。結紮を遅らせることにより胎盤、臍帯と胎児との血流が維持される。出生してから臍帯結紮との間に児に移行する血液を胎盤輸血という。胎盤輸血により出生児の循環血液量が改善し、そのため早産児のアウトカムが改善する可能性がある。

目的: 

37週未満の出生児およびその母親について、遅延臍帯結紮または臍帯ミルキングに比べて、早期結紮の短期的および長期的効果を評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group Trials Register(2011年5月31日)を検索した。本検索を2012年6月26日に更新し、分類待ちセクションに結果を追加した。

選択基準: 

37週未満の出生について、早期臍帯結紮を遅延結紮および胎盤輸血に影響する他の戦略と比較しているランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析: 

3名のレビューアが適格性および試験の質を評価した。

主な結果: 

15件の研究(出生児738名)が適格であった。参加者の出生時在胎週数は24~36週であった。臍帯結紮の最長遅延時間は180秒であった。迅速結紮に比べて遅延結紮では、貧血のため輸血を要する乳児の数が少なく[7試験、392名、リスク比(RR)0.61、95%信頼区間(CI)0.46~0.81]、脳室内出血(超音波検査診断の全グレード)が少なく(10試験、539名、RR 0.59、95%CI 0.41~0.85)、壊死性腸炎リスクが低かった(5試験、241名、RR 0.62、95%CI 0.43~0.90)。しかし、迅速結紮に比べて遅延結紮に割り付けられた出生児の方がビリルビンピーク値が高かった(7試験、320名、平均差15.01 mmol/L、95%CI 5.62~24.40)。他のアウトカムの大半[乳児死亡率、重度(グレード3~4)脳室内出血、脳室周囲白質軟化症などの主要アウトカム]では、群間に明らかな差を同定しなかったが、その多くの報告は不完全で信頼区間の値は広かった。退院後のアウトカムの報告は1件の小規模な研究からしかなかった。生後7ヵ月[出生時に在胎週数を修正(58名)]時の平均Bayley IIスコアに群間で有意差はなかった。

母親のアウトカムを報告している研究はなかった。

訳注: 

《実施組織》Minds 江藤宏美監訳、[2012.12.27]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクラン日本支部までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review、Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
《CD003248》

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