慢性腎臓病成人患者に対する運動訓練

著者の結論: 

CKD成人患者において、体力適性、歩行能力、心血管系要素(血圧、心拍数など)、QOL、一部の栄養パラメーターに対し、定期的運動は有意に有益な効果があるというエビデンスが認められた。他のアウトカムについては、RCTによるデータがなく不十分なエビデンスしかなかった。運動介入のデザインにより、効果サイズに差が生じることから、特定のアウトカムに作用させる目的で運動を処方する場合、デザインを考慮するべきである。レジスタンストレーニングまたはレジスタンストレーニングと心血管系トレーニングとの併用は、心血管系運動ほど研究されていないため、今後のRCTではこれらの種類のトレーニング介入の効果に重点を置くべきである。

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背景: 

慢性腎臓病(CKD)は、世界の公衆衛生上の問題の一つである。National Kidney Foundation Disease Outcomes Quality Initiativeガイドラインでは、身体活動などの生活習慣に関する事項が治療の基盤であると強調されている。CKD成人患者は体力が非常に低下しているので、毎日の生活活動および職業上の業務の実施能力に支障をきたす。CKD成人患者および腎移植患者を対象にした、様々な定期的運動プログラムの健康に与える効果についての研究発表が増加している。

目的: 

1)CKD成人患者および腎移植患者における定期的運動の効果を評価すること、2)体力と機能、身体活動レベル、心血管系要素、栄養、脂質、糖代謝、全身性炎症、筋形態と筋形態計測、脱落率、コンプライアンス、有害事象および死亡率に影響するためにはどのような運動プログラムをデザインすべきか(運動の種類、期間、強度、頻度など)を検討することを目的とした。

検索戦略: 

Cochrane Renal Group's specialised register、CENTRAL、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、Web of Science、Biosis、Pedro、Amed、AgeLine、PsycINFOおよびKoreaMedを検索した。レビュー論文および選択した研究の参考文献リスト、学会抄録をハンドサーチした。言語による制約は設けなかった。 最新検索は2010年5月であった。

選択基準: 

8週間以上何らかの身体運動を受けている、CKD成人患者または腎移植患者を登録しているランダム化比較試験(RCT)を選択した。8週間未満の運動を用いている研究、身体活動の増強のみを推奨している研究、共介入を両群に適用していないあるいは用いていない研究を除外した。

データ収集と分析: 

データ抽出ならびに研究およびデータの質評価は2名のレビューアが別々に実施した。連続的なアウトカムデータは標準平均差(SMD)または平均差(MD)と95%信頼区間(CI)として示した。

主な結果: 

1,863例の参加者をランダム化した45件の研究を本レビューに選択した。32件の研究からメタアナリシスが可能なデータを得た。運動訓練の種類は、心血管系訓練、心血管系訓練とレジスタンストレーニングの併用、レジスタンストレーニングのみ、ヨガであった。監督下の運動介入を用いた研究もあれば、非監督下の介入を用いた研究もあった。運動強度は「高」または「低」と分類され、個々の運動時間は1回20分から1回110分までの範囲で、研究期間は2カ月から18カ月であった。研究の17%は総バイアスリスクが低く、33%は中等度で49%は高バイアスリスクであった。 結果では、定期的運動により、1)体力(有酸素性能力、24件の研究、847例:SMD -0.56、95%CI -0.70~-0.42;歩行能力、7件の研究、191例:SMD -0.36、95%CI -0.65~-0.06)、2)心血管系要素(安静時拡張期血圧、11件の研究、419例:MD 2.32 mmHg、95%CI 0.59~4.05;安静時収縮期血圧、9件の研究、347例:MD 6.08 mmHg、95%CI 2.15~10.12;心拍数、11件の研究、229例:MD 6 bpm、95%CI 10~2)、3)栄養パラメーターの一部(アルブミン、3件の研究、111例:MD -2.28 g/L、95%CI -4.25~-0.32;プレアルブミン、3件の研究、111例:MD - 44.02 mg/L、95%CI -71.52~-16.53;エネルギー摂取、4件の研究、97例:SMD -0.47、95%CI -0.88~-0.05)、4)健康関連のQOLが有意に改善した。効果を最適にするためどのように運動をデザインすべきかについても結果から示された。他のアウトカムのエビデンスは不十分であった。

訳注: 

監  訳: 相原 智之,2012.2.7

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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