結腸直腸吻合術に対する器械縫合法と手縫い縫合法との比較

著者の結論: 

判明したエビデンスは、吻合術のレベルを問わずに、結腸直腸吻合術において器械吻合技術の手縫い縫合技術を上回る優位性を示すには不十分であった。過去10年間に、待機手術という条件でこれら2種類の吻合術を比較したランダム化臨床試験はない。待機的手術に関する限り、この研究の疑問の妥当性は、おそらくその強さを失ったと思われる。しかし、緊急手術、外傷および炎症性腸疾患といった危機的状況においては、新たな臨床試験が必要である。

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背景: 

医学文献において入手可能な、器械縫合と手縫い縫合による結腸直腸吻合を比較している、これまでのシステマティック・レビューでは、いずれの技法が優れているのかを明らかにしていない。このシステマティック・レビューのアップデートは、この疑問に適切に答えるデータが存在するのか知るために実施された。

目的: 

器械縫合と手縫い縫合の結腸直腸吻合術の安全性と有効性を比較する。以下の主要な仮説を検証した:器械縫合法の方が、合併症のレベルを下げるため、より有効性が高い。

検索戦略: 

Cancer Group of The Cochrane Collaborationの戦略に従い、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE、EMBASEにおいてコンピュータによる検索を実施した。言語、データおよびその他の規準に制限は設けなかった。最新バーションである2011年5月の本レビューに対して、改訂した検索方法を実施した。

選択基準: 

器械および手縫いの結腸直腸吻合法を比較した全てのランダム化比較試験(RCT)。参加者は待機的結腸直腸吻合術を受けている成人患者であった。介入は管腔内サーキュラーステープラーを用いた結腸直腸吻合術および手縫いの結腸直腸吻合術である。検討するアウトカムは、a)死亡率、b)全吻合部離開、c)臨床的吻合部離開、d)放射線学的吻合部離開、e)狭窄、f)吻合部出血、g)再手術、h)創傷感染、i)吻合術所要時間、およびj)入院期間とした。

データ収集と分析: 

データはレビューア2名(CBN、SASL)が独自に解析し、照合した。各試験方法の質も同じ2名のレビューアが評価した。本アップデートのために文献を検索した後、本レビューの前バージョンに追加された研究はなかった。ランダム化の詳細(生成と隠蔽化)、盲検化、ITT解析実施の有無、および、追跡不能患者数を記録した。バイアスのリスクの解析は、ソフトウェアReview Manager 5.1に従って更新された。各RCTの結果は、各アウトカムについて、ITTに基づき、2×2の表に要約した。外的妥当性は、参加者、介入およびアウトカムの特徴によって定義された。これらのRCTは結腸直腸吻合のレベルに従って階層化された。本レビューでは、二値アウトカム指標としてのリスク差(RD)法(ランダム効果モデル)および治療必要例数(NNT)、ならびに連続アウトカム指標としての加重平均の差(WMD)を、対応する95%信頼区間(CI)と共に示した。統計学的異質性はファンネルプロットおよびカイ二乗検定を用いて評価した。

主な結果: 

同定された試験9件に登録された患者1,233例のうち、622例が器械縫合を受け、611例は手縫い縫合を受けた。以下の主要な結果を得た。 a)死亡率、参加者901例に基づく結果: RD -0.6%、95%CI -2.8%~+1.6%。 b)全離開、患者1,233例に基づく結果:RD 0.2%、 95%CI -5.0%~+5.3%。 c)臨床的吻合部離開、患者1,233例に基づく結果:RD -1.4%、 95%CI -5.2~+2.3%。 d)放射線学的吻合部離開、患者825例に基づく結果:RD 1.2%、95%CI -4.8%~+7.3%。 e)狭窄、患者1,042例に基づく結果:RD 4.6%、95%CI 1.2%~8.1%;NNT 17、95%CI 12~31。 f)吻合部出血、患者662例に基づく結果:RD 2.7%、95%CI -0.1%~+5.5%。 g)再手術、患者544例に基づく結果:RD 3.9%、 95%CI 0.3%~7.4%。 h)創傷感染、患者567例に基づく結果:RD 1.0%、95%CI -2.2%~+4.3%。 i)吻合術所要時間、研究1件(患者159例)に基づく結果:WMD -7.6分、95%CI -12.9~-2.2分。 j)入院期間、研究1件(患者159例)に基づく結果:WMD 2.0日間、95%CI -3.27~+7.2日間。

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