変形性関節症治療におけるグルコサミン

本稿はコクラン・レビューの要約で、変形性関節症に対するグルコサミンの効果について、研究でわかったことを記載する。

変形性関節症の人がグルコサミンを服用すると、

・痛みが軽減することがある。

・身体機能が改善することがある。

・おそらく副作用はみられない。

変形性関節症やグルコサミンとは何か?

変形性関節症(OA)はもっともよくみられる関節炎で、手、腰、肩、および膝に影響がみられることがある。OAでは骨端を保護する軟骨が壊れ、痛みや腫れを引き起こす。薬物療法や非薬物療法は、痛みや腫れを軽減する目的で行われる。

グルコサミンは体内で自然にみられるものであり、軟骨の構成要素の1つとして体内で利用される。また、グルコサミンは栄養補助食品の錠剤として服用され、しばしば注射で投与される。コンドロイチンなど他のサプリメントとの併用、もしくは単独のグルコサミン塩酸塩や硫酸グルコサミンがある。パッケージに記載される通常の推奨量は、1500mg/日または500mgを1日3回である。

欧州では、グルコサミンは医療スタッフが処方する。しかし、北米では処方箋なしでグルコサミンサプリメントを購入できる。すなわち、北米ではグルコサミンは規制されておらず、ラベルに記載された用量が本当に錠剤に含まれているかどうかわからない。

約6カ月後に関する最も正確な評価

痛み:グルコサミンと偽薬を服用する人では同程度の痛みの改善がみられたことが、質の高い研究によって示された。質の低い研究や古い研究など、あらゆる研究について調べた場合、グルコサミンは偽薬よりも痛みを改善した。

偽薬を服用した人の疼痛スコアは0 ~ 100点中7点であった。グルコサミン群では偽薬群よりも痛みが10点以上改善することがある。

Rotta社製のグルコサミンのみについて調べた研究では(質の低い研究や古い研究を含む)、グルコサミンは偽薬よりも痛みを改善することが示された。偽薬を服用した人の疼痛スコアは0 ~ 20点中6点であった。Rotta社製のグルコサミンを服用した人では、グルコサミンを服用しなかった人よりも疼痛スコアが3点低かった。

機能:ある尺度による測定ではグルコサミンが偽薬よりも機能を改善したが、別の尺度では偽薬と同程度に改善したことが、質の高い研究で示された。

Rotta社製のグルコサミンのみについて調べた研究では(質の低い研究や古い研究を含む)、グルコサミンは偽薬よりも機能を改善することが示された。偽薬を服用した人の機能スコアは0 ~ 68点中22点であった。Rotta社製のグルコサミンを服用した人では、グルコサミンを服用しなかった人よりも機能スコアが2点改善した。

副作用が現れた人数に差はなかった。主な副作用は胃の不調や関節痛であった。

著者の結論: 

Rotta社以外の製剤を使用した複数の研究をプールした結果や、適切な割りつけの隠蔽化(コンシールメント)が行われた研究では、疼痛およびWOMAC機能スコアにおいて効果が示されなかった。一方。Rotta社の製剤について評価した研究では、症状を伴うOAによる疼痛や機能障害の治療において、グルコサミンのプラセボに対する優越性が示された。

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背景: 

変形性関節症(OA)はよくみられる関節炎で、しばしば重大な障害を伴い、生活の質を低下させる。本稿は、2001年に初めて発表され、2005年に更新されたコクラン・レビューの最新版である。

目的: 

OAに対するグルコサミンの有効性と毒性について評価したランダム化比較試験(RCT)をレビューすること。

検索方法: 

CENTRALおよびCochrane Database of Systematic Reviews(コクラン・ライブラリ)、MEDLINE、PREMEDLINE、EMBASE、AMED、ACPジャーナルクラブ、DAREを2008年1月まで検索し、当該分野の専門家に連絡を取り、文献リストおよび関連のある総説を手作業で検索した。

選択基準: 

OAに対するグルコサミンの有効性と安全性について評価したRCT。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者がそれぞれにデータを抽出し、欠測データについて治験責任医師に問い合わせた。

主な結果: 

今回の更新では、4963例を対象とした25件の研究を選択した。適切な割りつけの隠蔽化(コンシールメント)が行われた研究に限定した解析では、疼痛(異なる疼痛スケールをプールした指標)、および疼痛・機能・こわばりのWOMACスコアにおいて、グルコサミンの効果は示されなかった。しかし、Lequesne指標ではプラセボよりも改善がみられた(標準化平均差(SMD) -0.54、95% 信頼区間(CI) -0.96 ~ -0.12)。Lequesne指標を用いてベースラインからの変化を調べた25件のRCTの合計では、グルコサミンによって22%の疼痛改善(SMD -0.47、95% CI -0.72 ~ -0.23)、および11%の機能改善がみられた(SMD -0.47、95% CI -0.82 ~ -0.12)。結果は一様に有益であったわけではないが、その理由については不明である。WOMACの疼痛・機能・こわばりアウトカムでは、統計的有意に達しなかった。

Rotta社のグルコサミン製剤を使用した複数のRCTでは、プラセボと比較して、疼痛(SMD -1.11、95% CI -1.66 ~ -0.57)および機能(Lequesne指標:SMD -0.47、95% CI -0.82 ~ -0.12)においてグルコサミンの優位性が認められた。Rotta社以外のグルコサミン製剤を使用した複数のRCTの結果を統合したところ、WOMAC指標では疼痛(SMD -0.05、95% CI -0.15 ~ 0.05)および機能(SMD -0.01、95% CI -0.13 ~ 0.10)について、統計的有意に達しなかった。Rotta社の製剤を使用した2件のRCTでは、グルコサミンが膝のOAの放射線学的な進行を3年間にわたって遅らせることが示された(平均差(MD)0.32、95% CI 0.05 ~ 0.58)。

有害反応が報告された参加者数において、グルコサミンの安全性はプラセボと同程度であった(相対リスク比 0.99、95% CI 0.91 ~ 1.07)。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.1.27]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
CD002946 Pub2

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