アテローム動脈硬化性心疾患に対するキレート療法

アテローム動脈硬化性心血管(心臓および循環)疾患患者の血管閉塞を改善するために行うキレート療法の効果について、エビデンスは不十分である。アテローム性動脈硬化症は、名の動脈の内部に固着し血流を妨げる脂肪性沈着物(プラーク)によって生じる。動脈が閉塞すると、脳卒中や心臓発作が起きやすくなり、両脚が痛んでわずかな距離しか歩けなくなることも多い。キレート療法は、血液から金属類を除去すると考えられている物質を血流に点滴で注入する。この療法は、血管閉塞を打破する方法として、アテローム動脈硬化性心血管疾患の名に奨励されている。しかし、本レビューによって、キレート療法の効果に関する十分なエビデンスは存在しないことが試験から示された。

著者の結論: 

現時点では、アテローム動脈硬化性心血管疾患患者の臨床転帰改善におけるキレート療法の有効性の有無を決定するエビデンスは不十分である。本件に関する結論を得るには、アテローム動脈硬化性心血管疾患患者の寿命および生活の質に対するキレート療法の効果を示す評価項目を設定したランダム化比較試験を実施する必要がある。

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背景: 

キレート療法は、アテローム動脈硬化性心血管疾患治療の代替薬として、国際的に奨励され実践されている。キレート療法は、アテローム硬化性血管における血流回復を図る安全で比較的安価かつ非外科的方法として推奨されている。現時点では、キレート療法の効果について、依然として見解が分かれている。

目的: 

アテローム動脈硬化性心血管疾患患者の臨床転帰から、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)キレート療法の効果を評価する

検索方法: 

Cochrane Peripheral Vascular Diseases Group Trials Register(最終検索日:2005年5月)を検索した。また、発表済み論文およびその他の関連がある論文を求めて、Cochrane Controlled Trials Register(コクラン・ライブラリ2005年第2号)、MEDLINEおよびEMBASEを検索した。さらに、キレート療法で知られているフィリピン名施術者らとの文書のやり取りを通じ、研究を入手した。

選択基準: 

アテローム動脈硬化性心血管疾患患者を対象として、EDTAキレート療法とプラセボまたは無治療を比較したランダム化比較試験を組み入れた。検討した主なアウトカム指標は、全死亡率、原因別死亡率、非致死性心血管イベント、疾患重症度の直接測定または間接測定、改善または有害事象に関する主観的指標とした。

データ収集と分析: 

2名の著者(MVV、FT)がそれぞれデータを抽出し、試験の質を評価した。未解決の問題は、第三の執筆者(ALD)が検討した。意見の不一致については、コンセンサスが得られるまで議論を重ねた。追加情報を求めて、論文執筆者に連絡を取った。

主な結果: 

合計5報の研究を本レビューに組み入れた。いずれの研究においても、死亡率、非致死性イベントおよび脳血管イベントは報告されていなかった。参加者計250名を対象とした研究4報からは、疾患重症度の直接測定または間接測定および改善に関する主観的指標のアウトカムについて、有意差は認められなかった。参加者10名のみを対象とした1報は、治療効果が明らかであったため、早期に中断されていた。しかし、報告書から重要なデータは入手できず、論文執筆者に提供を求めた。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.1.27]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
CD002785

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