低出生体重児の罹病率および死亡率を低減するためのカンガルーマザーケア

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カンガルーマザーケア(KMC)は、主に資源の乏しい国の低出生体重児(LBW)に対して従来の新生児ケア(医療)にとって代わる安全で有効なものである。

低出生体重児(LBW; 2500g未満)は、新生児罹病率および死亡率、神経発達障害、成人時での循環器疾患のリスクが高くなる。従来のLBW児に対する新生児医療は高額で、技術の高い医療関係者と持続的な後方支援が必要とされた。KMCでは、母親と新生児の肌と肌の触れ合い(SSC)を主に行っている。他にも頻繁かつ完全な母乳栄養またはほぼ完全な母乳栄養、および早期退院も実施している。従来の新生児医療と比較してKMCは、退院時や妊娠40~41週後、および最新のフォローアップ時点での死亡率、重篤な感染症/敗血症、院内感染症/敗血症、低体温、重症疾患、下部気道疾患、入院期間を減少させることがわかった。さらにKMCにより、(新生児の)体重、頭囲や身長、母乳育児、乳児ケア法の母親の満足度、母子間の愛着、家庭環境の指標のスコアが上昇した。補正年齢1歳では、神経発達および感覚神経のアウトカムに差異はなかった。

著者の結論: 

今回の改訂レビューでのエビデンスにより、主に設備の限られた医療環境において、従来の新生児ケアの代替療法としてLBW児におけるKMCの実施が支持される。状態が安定していない、または比較的安定したLBW児において、早期に開始した継続的なKMCの有効性および安全性、長期的な神経発達的アウトカム、並びにケアの費用に関する情報がさらに必要である。

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背景: 

カンガルーマザーケア(KMC)は、元々は母親と新生児の肌と肌の触れ合い、頻繁かつ完全な母乳栄養またはほぼ完全な母乳栄養、および早期退院と定義され、低出生体重(LBW)児の従来の新生児ケアに代わる代替療法として提案されている。

目的: 

従来の新生児ケアに代わる手法として、LBW児におけるKMCの実施を支持するエビデンスがあるかを検討すること。

検索戦略: 

Cochrane Neonatal Groupの標準的な検索方法を使用した。MEDLINE、EMBASE、LILACS、POPLINE、CINAHLのデータベース(開始時~2014年3月31日)、およびCochrane Central Register of Controlled Trials(コクラン・ライブラリ、2014年、Issue 3)を検索した。さらに、Kangaroo Foundationのウェブサイト、KMCに関する学会やシンポジウムの抄録、およびGoogle scholarも検索した。

選択基準: 

LBW児におけるKMCと従来の新生児ケア、またはKMCを早期に開始した場合(出生後24時間以内)と遅らせて開始した場合(出生後24時間後)を比較したランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析: 

Cochrane Neonatal Review Groupの手法に従い、データ収集および解析を実施した。

主な結果: 

新生児2,751例に関する18件の研究が選択基準に適合した。16件の研究で安定後のLBW児のKMCが評価されており、1件の研究では安定前のLBW児のKMCが評価されていて、1件の研究では比較的安定したLBW児において早期に開始したKMCと遅れて開始したKMCの比較が行われていた。13件の研究で断続的なKMCが評価されており、5件の研究で継続的なKMCが評価されていた。退院時または妊娠40~41週時点で、KMCによって、死亡率[代表リスク比(RR)0.60、95%信頼区間(CI)0.39~0.92、8試験、新生児1,736例]、院内感染・敗血症(代表RR 0.45、95%CI 0.27~0.76)、低体温(代表RR 0.34、95%CI 0.17~0.67)、および在院期間(代表平均差 2.2日、95%CI 0.6~3.7)に関するリスクが有意に低下した。最新のフォローアップでは、KMCで死亡率(代表RR 0.67、95%CI 0.48~0.95、11試験、新生児2,167例)、および重篤な感染症/敗血症(代表RR 0.56、95%CI 0.40~0.78)のリスクが低下した。さらに、KMCは新生児の成長、授乳、および母子間のアタッチメントに関する指標のスコア上昇がみられた。補正年齢1年で、神経発達および感覚神経障害においてKMC群とコントロール群に有意差はなかった。バイアスのリスクが高い研究を選択しても、結論の全体的な方向性や主要アウトカムへの治療効果のサイズには問題がないことが、感度解析で示唆された。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2015.12.27]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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