サイアザイド系利尿薬が高血圧の最も良い第一選択薬である

レビューの論点

2009年に出版したレビューの初回改訂において、我々は、成人の高血圧患者の治療をする際の最も良い第一選択薬を決定しようとした。

この問に答えるために、薬剤群とプラセボ群、もしくは無治療群の比較をした試験に関する医学論文を可能な範囲で全て調べた。このレビューに使用したデータは2017年11月までのものである。

背景

高血圧は、心臓発作と脳卒中のリスクを高める。高血圧患者を治療する際、最も重要な決断の1つは、最初にどの種類の薬剤を使うかである。この決断は、健康上のアウトカムと費用の面で重要な結果をもたらす。

研究の特性

今回のアップデートでは、新たな試験の組入れはなかった。最初のレビューでは、24件の試験を抽出した。これらの試験では、高血圧のある58040人の成人(平均年齢62歳)を、4種の異なる薬剤もしくはプラセボに無作為に割り付けている。 試験の観察期間は3年から5年であった。研究対象の薬剤は、サイアザイド系利尿薬、β遮断薬、ACE阻害薬、カルシウム拮抗剤であった。

主な結果

エビデンスの大半が、低用量のサイアザイド系利尿薬を第一選択薬とすることで、死亡率、脳卒中、心臓発作が減少することを示していると、我々は結論した。他の薬剤は、低用量のサイアザイド系利尿薬ほど健康上のアウトカムを改善させなかった。β遮断薬と高用量のサイアザイド系利尿薬は、低用量のサイアザイド系利尿薬より劣っていた。

結論

低用量のサイアザイド系利尿薬を、大部分の高血圧患者に対して第一選択薬とすることは、高い質のエビデンスに支持されている。幸いにも、サイアザイド系利尿薬は非常に安価でもある。

エビデンスの質

低用量のサイアザイド系利尿薬を第一選択薬とすることには高い質のエビデンスがある。我々は他の種類の薬剤には中程度から低い質のエビデンスしかないと判断した。

訳注: 

《実施組織》井上円加 翻訳、土方保和 監訳[2018.5.19]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD001841》

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