食道癌に対する術前放射線治療

著者の結論: 

既存の試験から、切除可能と考えられる食道癌患者の生存を術前放射線治療が改善させることを示す明らかなエビデンスはない。これらの結果から、このような術前放射線治療レジメンは生存を改善させるとしても、その効果は軽微であり、生存の絶対改善は約3~4%であると思われる。そのような改善(15%~20%)を確実に検出するために、約2000例の患者を対象とした試験またはメタアナリシス(検出力90%、有意水準5%)が必要であろう。

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背景: 

既存のランダム化エビデンスは、切除可能と考えられる食道癌の患者の治療に術前放射線治療の利益またはその逆を決定的に示していない。

目的: 

今回のメタアナリシスは、術前の放射線治療の追加に利益があるかどうか、また事前に定めた患者サブグループが術前放射線治療によって多かれ少なかれ利益が得られるかどうかを評価することを目的とした。

検索戦略: 

MEDLINEおよびCancerLitの検索を、試験登録からの情報、関連性のある学会の予稿集のハンドサーチ、ならびに関連性のある試験の実施者、組織および企業との議論によって補完した。最初の発表から2年後の2001年4月30日に、再度検索戦略を用いてMEDLINE、EMBASE、コクラン・ライブラリを検索したが新たな試験は見出せなかった。検索戦略を用いて2002年8月と2003年8月にMEDLINE、EMBASE、CancerLit、コクラン・ライブラリ、2004年7月と2005年と2006年6月にMEDLINE、EMBASE、コクラン・ライブラリを再度検索した。この時も新たな関連性のある試験は認められなかった。

選択基準: 

切除可能と考えられる食道癌の患者(すべての組織型)を術前の放射線治療または無放射線治療にランダム化している場合に、その試験を本メタアナリシスへの組み入れに適格であるとした。試験は、事前に治療の割付けを知ることを排除するランダム化の方法を用いて、最初の解析時(1995年9月)までに十分な追跡を確保するために1993年12月までに集積完了が必要であった。

データ収集と分析: 

ランダム化試験5件からの患者1147例(死亡例971例)からなる適切にランダム化されたすべての試験(発表済みまたは未発表の)からの個々の患者の更新データを用いた定量的メタアナリシスを行った。このアプローチを用いて、術前放射線治療により全生存期間が改善するかどうか、また年齢、性別、腫瘍部位別に定めた患者で効果が異なるかどうかを評価した。

主な結果: 

ほとんどが扁平上皮癌の患者群で追跡期間中央値9年のハザード比(HR)は0.89(95%CI 0.78~1.01)であった。術前放射線治療群は全体として死亡リスクが11%減少し、絶対生存利益が2年時点で3%、5年時点で4%改善することが示唆される。この結果は従来的には統計学的に有意ではなかった(p=0.062)。性別、年齢、腫瘍部位別により効果サイズに明らかな差は認められなかった。

訳注: 

監  訳: 柴田 実,2008.11.18

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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