加齢黄斑変性症の進行抑制に対するイチョウの葉エキスの使用

加齢黄斑変性症(AMD)は、網膜の中心(眼底)に影響を及ぼす疾患である。網膜は加齢と共に劣化し、一部の人では中心部の視力を失う病変になることがある。イチョウの木の葉から抽出したイチョウエキスは、さまざまな疾患、特に循環障害を治療する漢方薬として使われている。イチョウエキスは、抗酸化物質である2つの成分(フラボノイドとテルペノイド)を含む。これらの成分がAMDの進行を遅らせるのに役立つ可能性があると考えられている。著者が同定した2件の小規模なランダム化比較研究(合計119例)のうち、1件はフランスで、もう1件はドイツで実施された研究であった。1件の試験ではイチョウとプラセボを比較し、もう1件ではイチョウエキスを異なる2つの用量で比較した。2件の試験では、視力に対するイチョウの好ましい効果が報告されたが、これらの試験は小規模かつ短期間であった。有害作用とQOLについては評価しなかった。本レビューの全体的な結論として、イチョウエキスがAMDの人に有効であるかについて答えている研究は今のところない。将来的には、より多くの参加者を対象とした、より長期にわたる試験の実施が必要である。

著者の結論: 

AMDの人が本疾患の進行を抑制するためにイチョウエキスを摂取すべきかについて答えている研究は今のところない。2件の小規模試験では、イチョウが視力に対して有効な可能性を示唆しているが、さらなる試験が必要である。イチョウは中国、ドイツ、フランスで広く使われている。将来的には大規模長期試験を実施し、AMDに対するイチョウエキスの効果について、より信頼性の高い指標を提供すべきである。

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背景: 

イチョウは末梢血管疾患や「脳循環不全症」の治療に使用される。血流の増加、血小板活性化因子拮抗作用、フリーラジカルによる膜損傷の予防など、複数の作用機序が考えられている。血管因子と酸化的損傷は、加齢黄斑変性症(AMD)の病理において、可能性のある2つの機序と考えられている。

目的: 

本レビューの目的は、AMDの進行に対するイチョウエキスの効果を検討することである。

検索戦略: 

CENTRAL(the Cochrane Eyes and Vision Group Trials Registerを含む)(コクラン・ライブラリ 2012年10号)、Ovid MEDLINE、Ovid MEDLINE In-Process and Other Non-Indexed Citations、Ovid MEDLINE Daily、Ovid OLDMED- LINE(1946年1月~2012年10月)、EMBASE(1980年1月~2012年10月)、Allied and Complementary Medicine Database(AMED)(1985年1月~2012年10月)、OpenGrey(System for Information on Grey Literature in Europe)(www.opengrey.eu/)、the meta Register of Controlled Trials(mRCT)(www.controlled-trials.com)、ClinicalTrials.gov (www.clinicaltrials.gov)、およびthe WHO International Clinical Trials Registry Platform(ICTRP)(www.who.int/ctrp/search/en)を検索した。 試験に関する電子検索では、年代や言語について制限しなかった。電子データベースの最終検索日は2012年10月5日である。同定した報告書やthe Science Citation Indexの参考文献リストを検索した。また、選択した研究にその後追加された情報については、試験責任医師に連絡を取った。

選択基準: 

AMDの人を対象として、イチョウエキスとコントロールを比較したあらゆるランダム化試験を選択した。

データ収集と分析: 

レビューアが、標準化されたフォームを用いてデータを抽出した。試験責任医師と共にデータを検証した。試験の質を評価した。

主な結果: 

合計119例をランダム化した2件の発表済みの試験を同定した。1件の研究はフランスで実施されたもので、20例の参加者を、80 mgのイチョウエキスEGb 761を1日2回摂取する群とプラセボ群にランダムに割り付けた。もう1件の研究はドイツで実施されたもので、99例の参加者を、2用量のイチョウエキスEGb 761(240 mg/日と60 mg/日)を摂取する群にランダムに割り付けた。治療期間はどちらの研究も6カ月間であった。2件の試験では、視力に対するイチョウの好ましい効果が報告されたが、これらの結果を統合できなかった。AMDの人における有害作用やQOLに関する報告はなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2015.12.26]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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