アルツハイマー病および軽度認知障害に対するガランタミン

著者の結論: 

これらの試験の被験者は、主に軽症から中等症の外来患者を対象とした初期の抗痴呆AD試験の被験者と類似していた。重症度の高い被験者に対するガランタミンの効果は未だ評価されていない。しかし、本レビューにより、試験期間が3~6カ月間の試験ではガランタミンに肯定的効果があることが一貫して示された。統計的に有意な用量反応効果は認められなかったが、8 mg/日を超える用量では、試験期間の大半の部分で一貫して統計的に有意であった。

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背景: 

ガランタミンは、特異的、競合的かつ可逆的なアセチルコリンエステラーゼ阻害薬である。

目的: 

軽度認知障害(MCI)の患者、アルツハイマー病(AD)の可能性が高い患者、もしくは可能性が考えられる患者を対象に、ガランタミンの臨床効果を評価し、効果を変化させる可能性のある因子を評価する。

検索戦略: 

galanthamin*、galantamin*およびレミニルを検索用語に用いて、2005年4月25日に最終更新を行ったCochrane Dementia and Cognitive Improvement Groupの Specialized Registerを検索し、試験を同定した。さらに情報源を得るため、過去に発表されたレビューを調査した。Janssen社およびhttp://www.clinicalstudyresults.org/から入手したガランタミンに関する未発表の臨床研究報告から、追加情報を収集した。

選択基準: 

MCIまたはADの被験者を対象にガランタミンとプラセボを比較したランダム化二重盲検並行群間試験を選択した。治療期間が4週間を超えていた試験を対象とした。

データ収集と分析: 

複数のレビューアが独立してデータを抽出し、適切かつ可能な場合はデータを統合した。検討したアウトカムは、臨床的全般的印象の変化(CIBIC-plusまたはCGIC)、アルツハイマー病評価尺度-認知サブスケール(ADAS-cog)、アルツハイマー病共同研究/日常生活活動(ADCS-ADL)、認知症患者機能障害評価尺度(DAD)および神経精神症状情報詳細(NPI)である。治療効果を変化させる可能性のある変数として試験期間および用量を評価したほか、アルツハイマー病の可能性が考えられると診断された患者と可能性が高いと診断された患者との間で治療効果を比較した。

主な結果: 

総数6805名の被験者を対象とした10件の試験を解析に含めた。8 mg/日以外のすべての用量レベルにおいて、ガランタミンによる治療を受けた被験者では、全般的評点尺度が改善した、または変化しなかった人の割合が有意に高かった(k=試験8件)。ORsの信頼区間は16~36 mg/日の用量範囲で重なり合っており、ITT対象の解析による点推定値は1.6~1.8であった。いずれの用量レベルでもガランタミンによる治療を受けた被験者は、ADAS-cogスコアの減少が有意に大きく(k=8)、3ヵ月後よりも6カ月後に効果が大きかった。この場合も、信頼区間が重なり合っていた。8 mg/日では効果の点推定値が低かったが、16~36 mg/日では同程度であった。たとえば、24 mg/日を6カ月間投与した場合では、ADAS-cogスコアが3.1ポイント減少するという治療効果が認められた(95%CI 2.6~3.7、k=4、ITT)。ADCS-ADL、DADおよびNPIが報告されていた試験は少数であり、少なくとも一部の試験では、これらの指標にはいずれも有意な治療効果が認められた。ADの可能性が考えられる患者を採用した1件の試験に観察された治療効果の信頼区間は、ADの可能性が高い患者を採用した7件の試験と重なり合っていた。ガランタミンの有害作用は他のコリンエステラーゼ阻害薬と近く、用量に関連するようであった。ガランタミンの徐放性/1日1回投与製剤は、16~24 mg/日の用量範囲では、有効性および副作用プロファイルが1日2回投与レジメンと類似していることが見い出された。2件のMCI試験からのデータは、臨床的利益はわずかにあるが、死亡率の原因の説明できない上昇も示唆している。

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