切除可能な胸部食道癌に対する術前化学療法

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著者の結論: 

要約すると、切除可能な胸部食道癌に対して、術前化学療法+手術は手術単独と比較して生存を改善する可能性があるが、エビデンスは不確実である。化学療法に関連する毒性や術前の死亡率に関するいくつかのエビデンスがある。

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背景: 

外科手術は局所食道癌に対する治療選択肢となっている。多数の研究において、術前化学療法とその後の手術は治癒率の改善につながるかどうかが検討されてきたが、個々の報告には、食い違いがみられる。それゆえ、切除可能な胸部食道癌治療に対する術前化学療法の役割に関する適正で系統的な情報の更新が必要である。

目的: 

本レビューの目的は切除可能な胸部食道癌患者に対する術前化学療法の役割を明らかにすることである。

検索戦略: 

Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE(1966年から2009年まで)、EMBASE(1988年から2009年まで)およびCANCERLIT(1993年から2002年まで)を検索し、試験を同定した。検索を英語出版物に限定しなかった。CENTRAL、MEDLINEおよびEMBASEの検索を2009年3月に更新した。

選択基準: 

切除可能な可能性のある食道癌(あらゆる組織型)患者を対象とし、術前化学療法を施行するか、施行しないかにランダム化したすべての試験。

データ収集と分析: 

主要アウトカムはハザード比を用いて評価した生存率である。1年毎に生存率を評価するために相対リスクを用いてオリジナルのレビューを修正して用いた。ハザード比(HR)は現在、単一解析において完全生存症例を集約するために導入されている。リスク比(相対リスク;RR)を用いて、切除率、腫瘍再発率、治療罹患率および死亡率を比較した。

主な結果: 

12件のランダム化試験(患者2,097例)を選択した。8件の試験(患者1,729例)に、生存率に関して主要アウトカムに対するメタ分析を含めて、十分に詳細な報告がなされていた。術前化学療法は生存を改善するということを示唆するいくつかのエビデンスがあったが、これは決定的ではなかった(HR 0.88;95%CI 0.75~1.04)。総切除率(RR 0.96、95%CI 0.92~1.01)や完全切除率(RR 1.09、95%CI 0.98~1.20)が術前化学療法群と手術単独群の間で差があることを示唆するエビデンスはなかった。腫瘍再発率(RR 0.81、95%CI 0.54~1.22)や致命的ではない合併症発生率(RR 0.90;95%CI 0.76~1.06)が術前化学療法と手術単独の間で差があるというエビデンスはない。複数の臨床試験で化学療法に伴う毒性のリスク(11%から90%の範囲にあった)が報告された。

訳注: 

監  訳: 吉田 雅博,2010.11.18

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

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