尿路感染症予防におけるクランベリー

クランベリー(通常はクランベリージュース)は、尿路感染症(UTI)の予防に用いられている。クランベリーには、細菌が膀胱壁に付着するのを防ぐ物質が含まれている。このため、膀胱や他の部位のUTIを予防するのに役立つ。このレビューでは、クランベリー製品とコントロールまたは他の治療法を比較した24件の研究(参加者4473人)を同定した。クランベリー製品を摂取した場合、プラセボまたは無治療と比較してUTIが減少する傾向がわずかに認められたが、有意な結果ではなかった。多数の参加者がジュースの飲用を中止したため、この介入は許容できるものではないことが示唆される。クランベリージュースはUTI予防に大きな利益をもたらさないと考えられ、長期間の摂取は許容されない可能性がある。クランベリー製品(錠剤やカプセルなど)も、おそらく「有効成分」の効力が十分ではなかったため、(抗菌薬服用時と同様の効果が得られたものの)有効性は示されなかった。

著者の結論: 

最新の改訂版以前は、クランベリージュースを12カ月間摂取した場合、症候性UTI、なかでも再発性UTI女性の発生数を減少させる可能性があるというエビデンスが存在すると考えられた。14件の新たな研究を追加した結果、クランベリージュースは前回示した結果よりも効果が低いことが示唆される。いくつかの小規模研究では、再発性UTI女性に対するわずかな有益性が示されているが、はるかに大規模な研究の結果を含めた場合、統計学的な有意差は認められなかった。3件の小規模研究では、クランベリー製品と抗菌薬を比較した結果、UTI予防効果に有意差は認められなかった。研究からの脱落者・中止者数が多く(主な原因はクランベリージュースを主体とするクランベリー製品の長期摂取の受容性)、また、UTI予防に対する有益性がわずかであるというエビデンスが存在するため、現時点ではUTI予防にクランベリージュースを推奨することはできない。その他の剤型(粉末など)の効力や、十分量の「有効」成分を含有しているかどうかを確認するためには、臨床研究による評価の実施前または製品の使用を推奨する前に、標準化された方法を用いて定量化する必要がある。

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背景: 

クランベリーは何十年もの間、尿路感染症(UTI)の予防および治療に広く用いられている。本レビューは、1998年に初版が発表され、2004年と2008年に改訂されたレビューの3回目の改訂版である。

目的: 

感受性集団を対象に、UTI予防に対するクランベリー製品の有効性を評価すること。

検索戦略: 

Trials’ Search Co-ordinatorへの問い合わせを通じて、本レビューに関連した検索語を用いてCochrane Renal Group’s Specialised Register(2013年6月4日)を検索した。クランベリー製剤の販売促進および流通に関与する企業に問い合わせを行い、レビュー対象文献および関連研究の参考文献リストを確認した。

検索日:2012年7月

選択基準: 

UTI予防におけるクランベリー製品に関するすべてのランダム化比較試験(RCT)または準ランダム化比較試験。

データ収集と分析: 

2名の著者が独立して評価し、データを抽出した。方法、参加者、介入およびアウトカム(症候性UTI罹患率、陽性培養結果、副作用、治療の遵守)に関する情報を収集した。該当する場合はリスク比(RR)を算出し、その他の場合はナラティブ統合(narrative synthesis)を実施した。質の評価には、コクラン・バイアスのリスク評価ツールを用いた。

主な結果: 

本改訂版レビューでは、計4473例が参加した計24件の試験(クロスオーバー試験6件、2群間並行比較試験11件、3群間並行比較試験5件、要因デザイン2件)を対象とした。2008年の改訂では10件の研究を組み入れ、今回の改訂では14件の研究を追加した。13件の研究(参加者2380例)ではクランベリージュースまたは濃縮液を、9件の研究(参加者1032例)ではクランベリー錠またはカプセルを評価し、1件の研究ではクランベリージュースとクランベリー錠の比較を、1件の研究ではクランベリーカプセルとクランベリー錠の比較を行った。比較・コントロール群の内容は、プラセボ、無治療、水、馬尿酸メテナミン、抗菌薬、または乳酸菌であった。11件の研究は、研究がクロスオーバーデザインで第I相のデータが個別に報告されていなかったかまたは関連データが欠落していたため、メタアナリシスに組み入れなかった。メタアナリシスに組み入れたデータから、クランベリー製品はプラセボ、水または無治療と比較して全体(RR 0.86、95%CI 0.71〜1.04)または再発性UTIの女性(RR 0.74、95%CI 0.42〜1.31)、高齢者(RR 0.75、95%CI 0.39〜1.44)、妊娠女性(RR 1.04、95%CI 0.97〜1.17)、再発性UTIの小児(RR 0.48、95%CI 0.19〜1.22)、癌患者(RR 1.15、95%CI 0.75〜1.77)、神経因性膀胱または脊椎損傷を有する患者(RR 0.95, 95%CI 0.75〜1.20)の各サブグループにおいて症候性UTI発生率を有意に低下させないことが示された。全体的な異質性は中等度であった(I² = 55%)。女性(RR 1.31, 95%CI 0.85〜2.02)および小児(RR 0.69 95%CI 0.32〜1.51)におけるクランベリーの有効性は、抗菌薬と比較して有意差が認められなかった。クランベリー製品とプラセボまたは無治療を比較した結果、消化器系有害作用に有意差は認められなかった(RR 0.83, 95%CI 0.31〜2.27)。多数の研究で、クランベリージュースを主体とするクランベリー製品の食味や受容性に起因するコンプライアンスの低さや中止・脱落率の高さが報告された。他のクランベリー製品(錠剤およびカプセル)に関する研究の多くで「有効」成分の含有量が報告されていなかったため、有効性が認められるだけの効力を製品が有していなかった可能性がある。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2015.12.25]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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