個別のカウンセリングは人々が禁煙するのを助けるか。

背景

個別カウンセリングは、喫煙をやめようとしている人々 を助けるためによく使われます。このレビューでは、医療とは別に1回以上の対面セッションを行った、訓練を受けたセラピストによるカウンセリングの臨床試験に注目した。アウトカムは、少なくとも6ヵ月後に非喫煙者であることであった。

試験の特性

私たちは2016年5月に臨床試験を検索し、1約19,000人の参加者を含む49の試験を同定した。全ての試験は少なくとも10分以上続く対面カウンセリング セッションを1回以上含んでいたが、ほとんどはそれ以上長く行われた。多くは追加的支援として、さらに電話によるコンタクトを含んでいた。33の試験は、通常のケア、禁煙に関する簡単な助言、または書面による最小限の支援しかない対照群と、個別のカウンセリングを比較していた。そのうち、27の試験は人々が喫煙をやめるのを助けるニコチン置換療法(NRT)などの薬を提供しなかった。33の試験のうち6つは、全員にNRTや他の薬を提供した。12の研究はより集中的でないカウンセリングと比較し、5つの研究は異なるタイプの研究と比較した。

結果とエビデンスの質

研究結果を統合することにより、個別のカウンセリングを受けることは最小限の支援と比較して40%から80%の間で喫煙をやめる機会を増加させうることを示していた。つまり、簡潔な支援のみが与えられた対照群では、100名のうち7名の喫煙者がなんとか喫煙をやめられたが、カウンセリングを受けた群は100名のうち10~12名が喫煙をやめることが期待された。私たちはこのエビデンスの質を高いと判断した。誰もがNRTや他の投薬を受けていて、対照群の100名中11名が喫煙をやめられた場合、カウンセリングを追加することで、100名中11~16名が成功すると期待される。利益の大きさがあまり確かではないため、このエビデンスの質は中程度であると評価した。より多くのセッションなど、より集中的なカウンセリングのサポートがあれば、おそらくもっと役立ちますが、利益の大きさが不確かであるため、追加の利益は小さくなる可能性があり、やはり中程度の質でしょう。異なるタイプのカウンセリングを比較した研究はほとんどなく、それらの間に相違は見られなかった。

著者の結論: 

個別に行われる禁煙カウンセリングは喫煙者の禁煙を支援するという高い質のエビデンスがある。カウンセリングが薬物療法に加えて使用される場合、短いカウンセリング介入と比較して、より集中的なカウンセリングに相対的に少ない利益の中程度の質のエビデンスがある。

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背景: 

禁煙専門家が個別に行うカウンセリングは、喫煙者に禁煙を成功させる助けになるかもしれない。

目的: 

このレビューは、次の仮説に取り組むものである。

1.個別のカウンセリングは、無治療や簡潔なアドバイスよりも禁煙の推進により効果的である。2.個別のカウンセリングは、自助教材よりも禁煙の推進により効果的である。3.より集中的なカウンセリングの介入は、あまり集中的でない介入より効果的である。

検索戦略: 

2016年5月にCochrane Tobacco Addiction Group Specialized Registerの全ての領域でcounsel* を含む研究を検索した。

選択基準: 

普段の臨床ケアに関与していない医療従事者による対面式個別カウンセリングからなる、少なくとも1つの治療群があるランダム化または準ランダム化試験。アウトカムは、カウンセリング開始から少なくとも6ヶ月後のフォローアップ時の禁煙であった。

データ収集と分析: 

2名の著者がデータを二重に抽出した。介入と対象集団の特徴、ランダム化の方法とフォローアップの完全性を記録した。私たちはそれぞれの試験において、禁煙の最も厳密な定義を使用し、生化学的に妥当な割合を利用した。分析において、私たちは追跡できなかった参加者を継続的な喫煙者と仮定した。私たちは、効果を禁煙のリスク比(RR)として表した。可能な場合は、固定効果(Mantel-Haenszel)モデルを使用して、メタ分析を実施しました。Cochraneの'Risk of bias' ツールとGRADE基準を使用して、各研究のエビデンスの質を評価した。

主な結果: 

私たちは約19,000人の参加者を含む49の試験を同定した。33の臨床試験は、個別のカウンセリングと最小の行動介入を比較していた。薬物療法が参加者に提供されなかった場合、個別のカウンセリングは最小のコンタクトの対照群(簡単なアドバイス、通常のケア、または自助教材の提供)よりも効果的であったという高い質のエビデンスがあった。(RR 1.57,95%信頼区間(CI)1.40〜1.77; 27の研究、11,100人の参加者; I 1 2 1 = 50%)。全ての参加者が薬物療法を受けていた場合(ニコチン置換療法)、カウンセリングの利益には中程度の質のエビデンスがあった(不正確さのため、ダウングレード)。(RR 1.24, 95% CI 1.01 to 1.51; 6 studies, 2662 participants; I121 = 0%)短いカウンセリングと比較して、より集中的なカウンセリングには小さな利益があるという、中程度の質のエビデンス(不正確さのためにダウングレード)があった(RR 1.29, 95% CI 1.09 to 1.53; 11 studies, 2920 participants; I121 = 48%)。似たような強さの、異なるカウンセリングモデルを比較する5 つの試験は、いずれも有意差が検出されなかった。

訳注: 

《実施組織》JCOHR 大山翻訳[2018.03.31]《注意》 この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる 翻訳のチェックを受けて公開していますが、 訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、 コクラン日本支部までご連絡ください。 なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーの New review、Updated reviewとも日単位で更新されています。 最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、 タイム・ラグが生じている場合もあります。 ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD001292.pub3》

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