急性脳卒中に対する冷却療法

著者の結論: 

現時点では、急性脳卒中の患者に体温を低下させるための物理的または薬理的戦略のルーチンでの使用を支持しているランダム化試験からのエビデンスはない。そのような戦略の効果を検討するには、大規模なランダム化臨床試験が必要である。

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背景: 

体温上昇は急性脳卒中の患者で一般的にみられ、不良なアウトカムに関係している。局所性脳虚血の動物モデルでは体温低下療法が梗塞量を減少させることが示されている。従って、急性脳卒中の患者の体温低下によってアウトカムが改善するかもしれない。本レビューは、1999年に最初に発表されたコクラン・レビューの改訂版である。

目的: 

急性脳卒中の患者の体温または脳温を低下させるための薬理的および物理的戦略の効果を評価する。

検索戦略: 

Cochrane Stroke Group trials register(最終検索2007年12月)を検索した。これに加えて、MEDLINEおよびEMBASE(1998年1月~2007年12月)を検索した。参照文献を精査し、選択した試験の著者に問い合わせた。本レビューの以前の版では、レビューアは製薬企業および本分野の冷却装置の製造業者に問い合わせた。

選択基準: 

急性虚血性脳卒中または脳内出血の患者を対象に、体温を低下させるための薬理的または物理的戦略あるいは両戦略を適用し、発表または未発表、完了したすべてのランダム化または非ランダム化比較臨床試験を検討した。アウトカム指標は、追跡終了時での死亡または自立能力障害(修正Rankinスケールのスコア≥3)および有害作用とした。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独立して選択基準を適用し、試験の質を評価し、データを抽出してクロスチェックした。

主な結果: 

合計で423例の参加者を対象とした5件の薬理的体温低下に関する試験および3件の物理的冷却に関する試験が選択された。死亡または自立能力障害のリスク(オッズ比(OR)0.9、95%信頼区間(CI)0.6~1.4)あるいは死亡(OR 0.9、95%CI 0.5~1.5)を減少させるうえで、薬理的または物理的な体温低下療法に統計学的に有意な効果は認められなかった。両者を介入することにより、感染の発現が有意ではないが増加した。

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