便潜血検査ヘモカルトを用いた大腸癌検診

著者の結論: 

検診の利益として、大腸癌死亡率に軽微な低下がみられたこと、大腸腺腫の検出と除去により癌発症率が低下した可能性があること、ならびに大腸癌の早期治療としての侵襲的手術が少なくなった可能性があることが挙げられる。

アブストラクト全文を閲覧
背景: 

大腸癌は、特に欧米諸国では、罹病率と死亡率の高い疾患となっている。大腸癌による人的費用と経済的費用削減のために、治癒可能な早期の段階で癌を検出できるスクリーニング検査を評価する研究がかなり行われている。集団検診として考慮されている検査には、便潜血検査(FOBT)、軟性S状結腸内視鏡検査、大腸内視鏡検査などがある。大腸癌(CRC)死亡率の低下は、集団ベースのスクリーニングプログラムを導入することによって達成できるかもしれない。

目的: 

便潜血検査(グアヤックまたは免疫化学的)を用いた大腸癌検診が大腸癌死亡率を低下させるかどうかを判定し、検診の利益と有害性を検討する。

検索戦略: 

このレビューのために発表データおよび未発表データを以下の方法によって同定した。過去のコクラン・レビューに含まれる研究のレビュー複数の電子データベース(コクラン・ライブラリ、Medline、Embase、CINAHL、PsychInfo、Amed、SIGLE、HMIC)の検索選択基準に適格となる可能性がある試験の試験責任医師への書面による連絡

選択基準: 

大腸癌検診に関するランダム化試験で、便潜血検査(グアヤックまたは免疫化学的)を2回以上実施した場合と検診を実施しなかった場合を比較し、大腸癌死亡率を報告している試験を選択した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に、適格な試験からデータを抽出した。検診への参加の有無にかかわらず、参加者を最初にランダム割り付けした群を用いて主要データ解析を実施し(「intention to screen」)、副次解析では、不参加について調整を行った。固定効果モデルと変量効果モデルを用いて、各試験の相対リスクとリスク差、ならびに全体的な相対リスクとリスク差を計算した(効果の異質性に関する検定を含む)。4件のランダム化比較試験と2件の比較試験を扱った9件の論文を同定し、試験参加者は320,000人超で、追跡期間は8~18年間であった。

主な結果: 

4件の適格なランダム化比較試験の結果を統合したところ、FOBTの検診に割り付けられた参加者では、大腸癌死亡率の相対リスクに16%の統計学的に有意な低下が認められた(RR 0.84、CI: 0.78~0.90)。2年に1回の検診を実施した3件の研究(フューネン、ミネソタ、ノッティンガム)では、大腸癌死亡率の相対リスクが15%低下した(RR 0.85、CI: 0.78~0.92)。各研究の平均検診参加回数を調整したところ、便潜血検査を用いた検診に1回以上参加した人では相対リスクが25%低下した(RR 0.75、CI: 0.66~0.84)。

訳注: 

監  訳: 柴田 実,2011.10.4

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

Tools
Information
シェア/保存する