アルツハイマー病に対するリバスチグミン

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著者の結論: 

リバスチグミンは、軽症から中等症のアルツハイマー病の人に有益であると考えられる。プラセボと比較して、6~12mgの1日用量で認知機能の低下率、日常生活動作、認知症の重症度に改善がみられた。有害事象は本薬のコリン作動性に合致するものであった。1件の試験で経皮吸収パッチ製剤が検討されており、低用量の小さなパッチ製剤はカプセルや高用量の大きいパッチ製剤よりも副作用が少なく、有効性は後者の製剤に匹敵することを示すエビデンスがある。本レビューでは、経済面でのデータについては検討されなかった。

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背景: 

高齢者の認知症で最も頻度の高い原因が、アルツハイマー病である。アルツハイマー病の臨床症状改善を目的とした治療のひとつに、コリンエステラーゼ阻害剤を用いてシナプス間隙に放出されるアセチルコリンの分解を遅らせ、脳の関連する部位でコリン作動性神経伝達を増強させるという戦略がある。この目的のために広範囲に試験が実施された最初のコリンエステラーゼ阻害薬がタクリンであり、これには肝毒性を含め重大な有害作用が伴った。現在、作用点が特異的で有害作用のリスクが少ないという優れた性質を有するリバスチグミンなど、その他のコリンエステラーゼ阻害薬が導入されている。リバスチグミンは欧州連合の全加盟国および米国を含む60ヵ国でその使用が承認されている。

目的: 

アルツハイマー型認知症患者を対象にリバスチグミンの臨床的有効性と安全性を明らかにする。

検索方法: 

2008年3月27日に用語Rivastigmine(リバスチグミン)またはexelon(エクセロン)OR ENA OR“SDZ ENA 713”を用いて、Specialized Register of the Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group(CDCIG)、コクラン・ライブラリ、MEDLINE、EMBASE、PsycINFO、CINAHLおよびLILACSを検索した。CDCIG Specialized Registerには、すべての主要な保健医療データベース(コクラン・ライブラリ、MEDLINE、EMBASE、PsycINFO、CINAHL、LILACS)に加え、多数の臨床試験登録および灰色文献情報源からの記録が含まれる。

選択基準: 

アルツハイマー型認知症患者を対象に、2週間を超えてリバスチグミンが投与され、その効果が並行群のプラセボ投与患者と比較された交絡のないすべての二重盲検ランダム化試験。

データ収集と分析: 

1名のレビューア(JSB)が研究の選択基準を適用して研究の質を評価し、データを抽出した。

主な結果: 

4,775例の参加者を対象とした9件の試験を本解析に含めた。高用量のリバスチグミンを使用することにより、いくつかの指標で統計学的に有意な利益を認めた。高用量のリバスチグミン(1日6~12mg)は26週時点でプラセボと比較して、ADAS-Cogスコアによる認知機能が2点改善し(重み付け平均差-1.99、95%信頼区間-2.49~-1.50、ITTに基づく)、Progressive Deterioration Scaleで評価した日常生活動作も2.2点改善した(重み付け平均差-2.15、95%信頼区間-3.16~-1.13、ITTに基づく)。低用量(1日4mg以下)でも、差は同様の傾向を示したが、統計学的に有意であったのは認知機能についてのみであった。高用量のリバスチグミンを服用した患者は、プラセボ服用患者と比較して、悪心、嘔吐、下痢、食欲不振、頭痛、失神、腹痛、めまいのイベント数が統計学的に有意に高かった。できるだけ低用量で頻回に投与することにより、リバスチグミンの有害事象が少なくなることを示すエビデンスがあった。2008年度の今回の更新には、2種類のリバスチグミン経皮吸収パッチ製剤について検討した新たな研究を含めた。それらは、以前に検討していたものよりも高用量(17.4mg/日)のパッチ製剤と、もうひとつは9.6mg/日の小さなパッチ製剤であった。小さなパッチ製剤の有効性は同等の1日用量のカプセルと比較して有意差はなかったが、悪心、嘔吐、めまい、無力の有害事象が有意に少なかった。大きなパッチ製剤の有効性は小さなパッチ製剤と比較して有意差はなかったが、小さなパッチ製剤は悪心、嘔吐、体重減少、めまいの有害事象が有意に少なかった。小さいパッチ製剤は、高用量パッチ製剤およびカプセル6~12mg/日の両者よりも優れていると考えられる。

訳注: 

監  訳: 大神 英一,2009.9.15

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

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