子宮頸癌予防を意図した性行動を促す介入

著者の結論: 

STI伝播を予防する性行動を促すことを目的とした若年女性への行動介入は、主としてコンドームの使用を促す点で有効である。今後の評価では、HPVとその子宮頸癌との関連にさらに焦点を当て、行動の変化、HPV感染率、子宮頸癌への進行に対する影響を評価する長期の追跡を含むべきである。適正な統合的過程の評価と費用対効果分析が可能なRCTを研究では用いるべきである。本システマティック・レビューで米国の研究が圧倒的に多いことを考慮すると、他の国で実施される評価が特に有用であると考えられる。

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背景: 

ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸癌の重要なリスク因子である。若年者においてHPVおよび他の性感染症(STI)が高率に持続している事は、有効な行動介入の必要性を示している。

目的: 

STI(HPVを含む)の伝播および子宮頸癌を予防する安全な性行動を若年女性に促す行動介入の有効性を評価すること。

検索戦略: 

以下のデータベースでシステマティックな文献検索を実施した。Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL 2009年、Issue 4)、Cochrane Gynaecological Cancer Review Group(CGCRG)Specialised Register、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、PsychINFO、Social Science Citation Index、Trials Register of Promoting Health Interventions(TRoPHI)(2009年末まで)。すべての参照文献を選択基準に照らして選択できるか調査した。

選択基準: 

特にSTIの伝播および予防についての情報提供を含む、25歳までの若年女性に対する行動介入のランダム化比較試験(RCT)。試験は、行動アウトカム(コンドーム使用など)および/または生物学的アウトカム(STIや子宮頸癌発症率など)を測定していなければならないものとした。

データ収集と分析: 

叙述的統合を実施した。介入と試験対象集団との異質性から、メタアナリシスは適切ではないと判断された。

主な結果: 

計5,271件の参照文献を調査し、このうち23件のRCTが選択基準に合致した。大半は米国で実施され、また保健診療所で実施されていた(家族計画など)。介入の大多数はSTIについての情報提供で、より安全な性技術(コミュニケーションなど)について教え、時にはリソースの提供(無料の性保健医療サービスなど)で補充していた。期間、接触時間、提供者、行動目的、およびアウトカムに異質性が認められた。HIV、クラミジアなどの多様なSTIについて言及されていた。HPVおよび子宮頸癌について明確に言及していた試験はなかった。行動アウトカム(コンドーム使用の増加など)について、統計学的に有意な効果は、全般的ではなかったが多くみられ、アウトカムの種類によって異なっていた。統計学的に有意な、性行動を控えるもしくは減少させる効果はなかった。生物学的(STI)アウトカムに対する統計学的に有意な効果はほとんどなかった。不完全であいまいな報告のため、相当な不明確性がバイアスリスクに存在する。

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