ステロイド薬が引き起こす骨粗鬆症治療におけるカルシウムとビタミンD

ステロイド薬は炎症の治療に広く利用されている。骨量の減少(骨粗鬆症)は、ステロイド薬の重篤な副作用である。274例の参加者を対象とする計5件の試験についてレビューした。カルシウムとビタミンDを服用する患者では、治療開始から2年後の腰椎と前腕の骨塩密度が、無治療の患者よりも改善した。骨折数や骨密度の検査値について2群間で差はなかった。カルシウムとビタミンDの併用は、ステロイド薬で引き起こされる腰椎や前腕の骨量減少の予防や治療に有効である。この治療は安全だと考えられる。

著者の結論: 

このメタアナリシスでは、ステロイド薬を投与する患者でのビタミンDとカルシウムの併用は、腰椎と前腕の骨量減少において臨床的かつ統計学的に有意な予防となることを明らかにした。毒性やコストが低いため、ステロイド薬を開始するすべての患者が、カルシウムとビタミンDによる予防療法を受けるべきである。

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背景: 

骨粗鬆症と続発性骨折は罹病や死亡の主な原因となる。骨粗鬆症は骨量の低下によって定義されるが、骨量の減少にはさまざまな病因がある。副腎皮質ステロイド(薬)(以下、ステロイド)療法は、骨粗鬆症の発症原因となる。ステロイドは、多様で複雑な機序によって骨量を減少させる。ステロイド薬を開始する患者には、予防薬(カルシウム、ビタミンD、エストロゲン、またはビスホスホネート)の投与を受けることが推奨されている。

目的: 

全身性ステロイド薬を使用する患者で、カルシウム単独またはプラセボと比較して、カルシウムとビタミンDの併用による骨量減少の予防効果を評価する。

検索方法: 

Cochrane Musculoskeletal trials register、Cochrane Controlled Trials Register、EMBASE、MEDLINEを1996年までについて検索した。また、さまざまな学会のアブストラクトや選択した試験の文献リストを手作業で検索した。

選択基準: 

全身性ステロイド薬を使用する患者を対象に、カルシウムとビタミンDの併用と、カルシウム単独またはプラセボを比較したすべてのランダム化試験

データ収集と分析: 

2名の研究者が試験からデータを抽出した。同様に、方法論的な質を評価した。解析は固定効果モデルを用いて実施した。

主な結果: 

参加者274例を対象とする5件の試験を選択した。解析は、カルシウムとビタミンDの投与開始後2年の時点で実施した。治療群とコントロール群では有意な重み付け平均差(WMD)がみられ、腰椎ではWMD 2.6(95% CI 0.7、4.5)、橈骨の骨塩密度ではWMD 2.5(95%CI 0.6、4.4)であった。他のアウトカム指標(大腿骨頚部の骨量、骨折発生率、骨吸収の生化学的マーカー)について、有意差はみられなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2017.11.15]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
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