妊娠中の無症候性細菌尿に対する治療期間

無症候性細菌尿は、妊娠中に多く見られる無症状の尿路感染症である。放置しておくと、腎盂腎炎(腎臓の感染症)になることもある。抗生物質による治療が推奨されている。本レビューの目的は、抗生物質の単回投与による治療が、母体および赤ちゃんのアウトカムに対して、抗生物質の長期投与による治療と同等の効果があるかどうかを明らかにすることである。本レビューに含まれる試験のバイアスのリスクは、全般的にほとんど不明であった。エビデンスの全体的な質はGRADE分類を用いて評価した。1622人以上の女性が参加した13件の研究のレビューでは、1日投与よりも7日間投与のレジメンの方が、特に低出生体重児のアウトカム(質の高いエビデンス)に効果的であることが示されたが、この結果はたった1件の研究に基づいている。腎盂腎炎(非常に質の低いエビデンス)や早産(中等度の質の高いエビデンス)を含む他のアウトカムについては、抗生物質の単回投与と4~7日間投与との間に明確な違いは見られなかった。単回投与のレジメンを服用した女性では副作用が少ないと報告された(質の低いエビデンス)。女性や赤ちゃんにとって最適な治療期間を見極めるためには、より多くの試験が必要である。

訳注: 

《実施組織》 杉山伸子 内藤未帆 翻訳 [2020.09.17]《注意》 この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。  《CD000491.pub3》

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