分娩時の硬膜外鎮痛と非硬膜外鎮痛または無鎮痛との比較

著者の結論: 

硬膜外鎮痛は分娩中の疼痛軽減に有効であると考えられた。しかし、本様式を用いて疼痛緩和を受ける女性では、器械分娩となるリスクが上昇する。硬膜外鎮痛には、帝王切開、母体の疼痛緩和満足度、および長期背部痛リスクに対し統計学的に有意な影響はなく、アプガースコアで判定した新生児の状態から即時の影響はないと考えられた。分娩中の女性および新生児の長期アウトカムに対する硬膜外鎮痛のまれではあるが重度の有害事象の可能性について、今後の研究がその評価に役立つ可能性がある。

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背景: 

硬膜外鎮痛は、疼痛を伝達する神経近傍への局所麻酔薬注射により中枢神経ブロックを得る技術で、分娩における疼痛緩和の一様式として広く使用されている。しかし、母体および児に対する意図しない有害な作用に関して懸念がある。

目的: 

分娩中の非硬膜外鎮痛または疼痛緩和無使用と比較して、硬膜外鎮痛の全様式(脊髄麻酔併用を含む)が母体および児に及ぼす影響を評価すること

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2011年3月31日)を検索した。

選択基準: 

分娩を対象に、硬膜外麻酔の全様式を、区域ブロックを含まないあらゆる疼痛緩和様式または疼痛緩和無使用と比較しているランダム化比較試験(RCT)

データ収集と分析: 

2名のレビューアが、適格性、方法論的質および抽出した全データについて別々に試験を評価した。データをRevManに入力し、その正確性についてダブルチェックした。主要解析は、ITTにより実施した。顕著な異質性が明らかな場合、サブグループ解析および感度分析を実施した。

主な結果: 

9,658例の女性を含む38件の研究を選択したが、5件以外はすべて硬膜外鎮痛をアヘン製剤と比較していた。硬膜外鎮痛の方が、疼痛緩和に有効で[平均差(MD)-3.36、95%信頼区間(CI)-5.41~-1.31、3試験、1,166例]、追加的疼痛緩和の必要性の減少[リスク比(RR)0.05、95%CI 0.02~0.17、15試験、6,019例]、アシドーシスリスクの低下(RR 0.80、95%CI 0.68~0.94、7試験、3,643例)、ナロキソン投与リスクの減少(RR 0.15、95%CI 0.10~0.23、10試験、2,645例)をもたらした。しかし、硬膜外鎮痛は、補助経腟分娩(RR 1.42、95%CI 1.28~1.57、23試験、7,935例)、母体低血圧(RR 18.23、95%CI 5.09~65.35、8試験、2,789例)、運動神経遮断(RR 31.67、95%CI 4.33~231.51、3試験、322例)、母体発熱(RR 3.34、95%CI 2.63~4.23、6試験、2,741例)、尿閉(RR 17.05、95%CI 4.82~60.39、3試験、283例)、分娩第2期遷延(MD 13.66分、95%CI 6.67~20.66、13試験、4,233例)、オキシトシン投与(RR 1.19、95%CI 1.03~1.39、13試験、5,815例)、胎児機能不全に対する帝王切開(RR 1.43、95%CI 1.03~1.97、11試験、4,816例)のリスク上昇に関連していた。総帝王切開リスク(RR 1.10、95%CI 0.97~1.25、27試験、8,417例)、長期背部痛(RR 0.96、95%CI 0.86~1.07、3試験、1,806例)、5分後アプガースコア7点未満(RR 0.80、95%CI 0.54~1.20、18試験、6,898例)、および疼痛緩和に対する母体の満足度(RR 1.31、95%CI 0.84~2.05、7試験、2,929例)に有意差のエビデンスはみられなかった。以下のアウトカムについて顕著な異質性を認めた:疼痛緩和、母体満足度、疼痛緩和の追加的手段の必要性、分娩第2期の期間、およびオキシトシンによる促進。これは、解析可能なデータがあった場合のサブグループ解析および感度分析によっても説明がつかなかった。硬膜外鎮痛のまれではあるが重篤な有害事象の可能性について報告した研究はなかった。

訳注: 

監  訳: 江藤 宏美,2012.4.10

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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