分娩時の潜在的な臍帯圧迫または臍帯圧迫の疑いに対する羊水注入

著者の結論: 

潜在的な臍帯圧迫と臍帯圧迫の疑いに対する羊水注入の利用は、様々な胎児心拍数の一過性徐脈の発生を抑え、新生児アウトカムの短期的指標を改善し、母体の分娩後の子宮内膜炎を軽減し、また帝王切開実施件数が減少して母体および胎児に対して利益がみられるものの、ここでレビューした試験には方法論的限界があった。また、試験規模があまりにも小さく、羊水注入の母体に対する稀ではあるが重篤な有害作用の可能性を取り上げることはできない。以上の所見を確認し、長期的な胎児アウトカムの指標を評価し、また胎児機能不全の診断が差し迫っている場合の帝王切開率に対する影響を評価するにはさらなる研究が必要である。試験では、胎児心拍数の徐脈、羊水過少症または前期破水など特異的な臨床状況で羊水注入を評価する必要がある。

アブストラクト全文を閲覧
背景: 

羊水注入の目的は、子宮腔に溶液を注入して分娩中の臍帯圧迫を防止する、または緩和することである。

目的: 

潜在的な臍帯圧迫または臍帯圧迫の疑いに対して羊水注入した母体と周産期のアウトカムへの効果を評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2011年10月31日)を検索した。

選択基準: 

分娩時に臍帯圧迫の危険性がある妊婦を対象とし、羊水注入する場合と羊水注入をしない場合を比較したランダム化試験。

データ収集と分析: 

オリジナルのレビューはレビューア1名のみのものであった(Justus Hofmeyr (GJH))。本最新版に向けて、レビューア2名 (GJH and T Lawrie)が適格性および質について、その後追加された13試験を評価した。データを抽出し、精度について確認した。

主な結果: 

評価には研究19件を含めたが、2件を除く全研究の参加者は200例未満であった。潜在的な臍帯圧迫と臍帯圧迫の疑いに対する経頚管的羊水注入は、以下の減少と関連していた。帝王切開総数[試験13件、参加者1493例;平均リスク比(RR)0.62、95%信頼区間(CI)0.46~0.83]、胎児心拍数(FHR)の徐脈(試験7件、参加者1006例;平均RR 0.53、95%CI 0.38~0.74)、5分時のアプガースコアが7未満(試験12件、参加者1804例;平均RR 0.47、95%CI 0.30~0.72)、声帯より下方の胎便(試験3件、参加者674例、RR 0.53、95%CI 0.31~0.92)、分娩後の子宮内膜炎(試験6件、参加者767例、RR 0.45、95%CI 0.25~0.81)および母親の入院日数が4日以上(試験4件、参加者1051例、平均RR 0.45、95%CI 0.25~0.78)。経腹的羊水注入も類似する傾向がみられたが、研究件数は少なかった。 羊水注入群では臍帯動脈血の平均pH値が高く(試験7件、参加者855例;平均値の平均差0.03、95%CI 0.00~0.06)、また羊水注入群では臍帯動脈血pH値の低い(7.2未満または試験著者らの定義のとおり)新生児が少ない傾向を示した(試験8件、参加者972例、平均RR 0.58、95%CI 0.29~1.14)。

訳注: 

監  訳: 江藤 宏美,2012.4.25

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

Tools
Information
シェア/保存する